第96回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した『マリウポリの20日間』で監督を務めたミスティスラフ・チェルノフの最新作『戦場0地点』(2026年9月4日公開 配給:アンプラグド)の本編映像が公開となった。

  • ロシア軍に占領されたアンドリーウカ村の奪還作戦を記録したドキュメンタリー『戦場0地点』の本編映像第二弾が公開

    ロシア軍に占領されたアンドリーウカ村の奪還作戦を記録したドキュメンタリー『戦場0地点』の本編映像第二弾が公開

『戦場0地点』は、2023年、ウクライナ軍第3強襲旅団の小隊に同行したチェルノフ監督が、ロシア軍に占領されたアンドリーウカ村の奪還作戦を記録したドキュメンタリー。チェルノフは、ジャーナリストとしてではなく、兵士たちと行動を共にしながら 戦場へ身を置く。映像の多くは、兵士たちのヘルメットカメラやドローンによって撮影されており、観客は彼らとともに、アンドリーウカ村までの2,000メートルを進むことになる。しかし、その距離は決して短くない。身を潜めながら前進し、一歩ごとに死と隣り合わせとなる極限の道のりである。冗談を交わし、煙草を吸い、家族や未来について語る若い兵士たち。そして、その直後に訪れる死。チェルノフは、彼らを、銃を手にする以前、それぞれの日常を生きていたひとりの人間として見つめ続ける。激しい銃撃戦、ドローンによる襲撃、絶え間なく降り注ぐ砲弾、そして 荒廃した大地に横たわる戦死体――。本作は、ニュース映像や数字だけでは決して伝わらない戦場の現実を突きつける。

この度公開となった本編映像が捉えるのは、アンドリーウカ村まで残り600メートルに迫った地点。ロシア軍の陣地を目前に、兵士たちは激しい銃撃戦へと突入する。映像には、兵士同士が至近距離で交戦する地上戦に加え、上空のドローンが敵兵の位置を捉え、その情報を地上部隊へ伝えながら攻撃を支援する様子も記録されている。さらに、爆発物を搭載したドローンが敵陣へ迫り、攻撃を仕掛ける場面も。地上を進む兵士と、戦場を上空から監視するドローン。その両方の視点が交錯する一方、地上戦では敵の姿をはっきりと捉えることができないまま、どこから銃弾が飛んでくるのかわからない戦場の恐怖が観る者にも迫ってくる。

本作が撮影された2023年は、現在ほど無人機による戦闘が戦場を席巻しておらず、ドローンを活用した戦闘と、兵士が自ら塹壕へ入り、銃を手に前進する従来型の地上戦とが混在していた時期でもある。しかし、ロシアによるウクライナへの全面侵攻開始から4年半が経とうとする現在、戦場の姿は急速に変化している。無人機の投入は飛躍的に拡大し、兵士同士が直接対峙する戦闘から、ドローンや無人地上車両などを駆使した戦闘へと、その比重は大きく移りつつある。本作を手掛けたミスティスラフ・チェルノフ監督は、アンドリーウカでの戦闘を生き延びた兵士たちについて、インタビューでこう語っている。

「アンドリーウカの戦いを生き残った兵士たちからよく聞く言葉があります。『当時、ロボットがあれば、多くの仲間を失わずに済んだのに』」

生身の兵士たちが、自らの足で地雷原と砲火の中を進み、敵陣へと突撃していく――。戦争の無人化が急速に進む今、『戦場0地点』に刻まれた光景は、わずか数年前の記録でありながら、すでに失われつつある戦争の姿を捉えたものでもある。これは、戦争の「過去」を記録した映像ではない。戦争が、わずか数年でどれほど姿を変えてしまったのか。その転換点を、生身の兵士たちの視点から記録した、極めて貴重な映像である。

■ストーリー
2022年11月、ロシア軍に占領されたウクライナ・ドネツク州の小さな村、アンドリーウカ。2023年9月、ウクライナ軍は激戦の末、この村の奪還に成功した。本作は、その奪還作戦の最前線に同行し、アンドリーウカまで続く、わずか2,000メートルの道のりを、死と隣り合わせの極限状態で一歩ずつ進む兵士たちの姿を記録している

■スタッフ
監督・脚本・撮影:ミスティスラフ・チェルノフ
編集・製作:ミシェル・マイズナー
製作:ラニー・アロンソン=ラス
共同製作・追加撮影:アレックス・バベンコ
音楽:サム・スレーター

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