さて、Google Home スピーカーのウリである「Gemini」が使えるメリットを考えていきたい。
正直、今回試用した1週間ほどの期間で、思いついた活用方法をいろいろと試したのだが、出力結果自体はパッとしなかった。生成AIに対する期待値が高すぎたのかもしれない。
例えば、「ねぇ、Google。ナスを使ったおかずのレシピ考えて?」と聞けば、2~3種類のレシピを提案くれるが、これが長い。生成AIツールを使い慣れた方ならお馴染みの経験だと思うが、こちらの尋ね方が大雑把だと、回答が冗長になりがちだ。
それも機械音声独特のリズムで、長尺で話されると、内容が頭に全く入ってこない。Geminiが“2つ目のレシピ”の具体的な作り方を話している段階で、「もう聞くの疲れた……(うんざり)」と脳が停止してしまう。快適に使うには、この辺りの“こなれ感”の進化を待つか、聞き方を工夫したほうがよいだろう。
また、よくある使い方として、Gemini相手に壁打ち的な議論を深めようとした場合には、スマホやPCからアクセスするアプリ自身が競合となってしまうことに気づいた。これは、Google Homeスピーカーとの会話の内容を、テキストで確認・出力する術が今のところなさそうだからだ(アクティビティの記録は残せるので、対応策は探せばあるかもしれないが……)。
要するにスマホやPCで生成AIを使った方が手っ取り早い。ただ、一応「ねぇ、Google。さっきどんな会話したっけ?」のように聞くと、直前の会話内容について教えてくれはする。Google Home スピーカーに音声でメモしておいた内容を、音声で確認するという使い方については、創意工夫次第で実用性を見出せるかもしれない。
そのほか、語学学習に使うのはどうだろう――と「ねぇ、Google。TOEIC用に英単語の問題を出して」のような使い方も試してみた。ただし、日本語の読み上げ音声では、英単語や文章の発音が不自然な日本語発音になり、現時点ではうまくいかなかった。
Geminiは人の話をきちんと聞いてくれる
こうした検証を重ねたうえで、なんとなく筆者なりの結論が出た。Gemini搭載のメリットは「『すみません、よくわかりません』という返答がなかったこと」だと。
実は、今回の検証期間中、指示が伝わらなかったことは、一度もなかったのだ。こちらの思考がまとまっていなくて、指示が途中でどもったり、噛んでしまっても、ちゃんと反応してくれた。
きっちり伝えないと何度も言い直させられる――という事態にならないので、ストレスがあまり無い。これは意外に大きなメリットだと思う。
Geminiの搭載で「話しかけやすさ」は圧倒的に広がった
もちろん、こちらの意図通りの出力が返ってくるとは限らない。例えば、「ピアノアレンジの曲を再生して」と言って、Geminiが「ピアノアレンジの曲を再生します」と返答したとしても、オーケストラの楽曲が再生されるようなことは多々あった。
とはいえ、普段他社の音声アシスタントを使っていて「わかりませんでした」や、聞き間違いによる的外れな回答をされる頻度とストレスを思えば、こちらの忌避感も下がるというものだ。
要するに「スマートスピーカーでやると便利なこと」の幅はGeminiの有無でさほど変わらない印象だったが、「スマートスピーカーが受け入れてくれる話し方」の幅はGeminiによってかなり広がった気がする――というのが今回の試用のまとめだ。
Geminiを搭載したという看板は非常にキャッチーだが、ユーザー視点では劇的な体験の変化を期待するのではなく、「マウスのクリック感が良くなった」や「キーボードの打鍵感が良くなった」のように、「スマートスピーカーの操作感が良くなった」という正当進化をイメージしておくと、購入後のメリットを具体的に描きやすいのではないかと思う。
