ふだんロックやJ-POP、アニソンなどの音楽を聴いていても、クラシック音楽はよく分からない…という人も多いのでは? そんな状況を一変させる可能性を秘めるアップルの新しい音楽サービス「Apple Music Classical」が、1月24日に国内で始まりました。500万ものクラシック楽曲を擁する本格的な内容ながら、Apple Musicを契約していれば追加料金なしで手持ちのiPhoneで手軽に楽しめるのがポイント。立体感のあるサウンドが楽しめる空間オーディオにも対応しており、まるでオーケストラの中心にいるような未体験の感覚が味わえます。

Apple Music Classicalのサービス開始にあたり、アンバサダーを務める指揮者の佐渡裕さんとギタリストの村治佳織さんの2名にインタビューを実施。「Apple Music Classicalは、幾度となく聴いた名盤も空間オーディオで新たな感動が味わえるし、クラシックになじみのない人でも名盤に巡り会える工夫が盛り込まれている。さまざまな世代の人とクラシック音楽で新たな縁が作れるのが楽しみでならない」と期待を寄せていました。

  • 「クラシック音楽で多くの人と縁を作りたい」とApple Music Classicalへの期待を語ってくれた、指揮者の佐渡裕さん(左)とギタリストの村治佳織さん(右)

Apple Musicを利用していれば追加料金なし、多彩な検索機能も

アップルが1月24日に国内で開始したApple Music Classical(アップルミュージック クラシカル)は、クラシック音楽に特化した音楽配信サービス。Apple Musicの派生サービスで、利用するアプリこそ異なりますが、Apple Music(月額1,080円)を契約していれば追加料金なしで楽しめるのがポイント。iPhoneやiPadだけでなく、Androidでも利用できます。

  • Apple Music Classicalは、iPhoneやiPadでアプリをダウンロードすればすぐに楽しめる

Apple Music Classicalの特徴は、アップルが“世界最大級のクラシック音楽のストリーミングカタログ”と胸を張る通り、500万を超えるクラシック音楽を配信すること。日本の著名なクラシック音楽団体と連携し、Apple Music Classicalでしか聴けない楽曲も多く網羅しています。

それだけ楽曲数が多いと、お目当ての楽曲を探すのもひと苦労では?と思いがちですが、Apple Music Classicalはクラシック音楽に最適化した多角的な検索機能を備えているのが特徴。作曲家や作品名のみならず、作品番号、作品の通称、指揮者、アーティストなど、さまざまなキーワードをもとに楽曲が探し出せるようになっています。クラシック音楽に造詣の深いエディターが選んだおすすめのプレイリストも表示され、自分好みの楽曲に出会える可能性が高まります。

本家Apple Musicと同じく、空間オーディオに対応しているのもポイント。AirPods ProやAirPods Maxなどの対応デバイスがあれば、立体的なサウンドで楽しめます。

  • Apple Music Classicalは、空間オーディオの再生に対応したAirPods Proなどを使って楽しむのが断然オススメ

空間オーディオで味わうクラシック音楽は格別

既存のクラシック音楽のサブスクサービスがかすむほどの内容を持つApple Music Classicalですが、クラシック音楽に携わるアーティストも大きな期待を寄せていました。

  • 佐渡裕さんと村治佳織さんは、1月22日にApple 表参道で開かれたApple Music Classical発表イベントに登壇。Apple Music Classicalに対する期待を語ってくれた

「Apple Music Classicalでクラシック音楽に触れる人が格段に増え、さまざまな世代の人とクラシック音楽つながりで縁ができるのが楽しみです」と語るのは、指揮者の佐渡裕(さどゆたか)さん。「iPhoneは若い人が片時も手放さず使っているじゃないですか。日ごろ別のジャンルの音楽を楽しんでいる人も、手元のiPhoneでクラシック音楽の感動に浸れるのは大きいと思います。iPhoneのような先進的な製品を生み出したアップルが『クラシックは音楽の源流だ』と言ってくれたのもうれしいですね」

  • 「隣の人や友だちが聴いていたことをきっかけにクラシック音楽が好きになるように、Apple Music Classicalをきっかけに多くの人がクラシック音楽に興味を持ってもらえるとうれしい」と語る佐渡裕さん

ギタリストの村治佳織さんは「クラシック音楽というと、どうしてもハードルが高いイメージがありますよね。そもそも、どうやって検索すればいいのか悩んじゃいますし。でも、Apple Music Classicalは検索しやすく工夫されていますし、楽曲もエディターの方が厳選した、言ってみれば“よいフィルターがかけられた曲”ばかり。きっと、お気に入りの音楽に出会えると思います。もし選んだ曲がお気に入りでなくても、おすすめで挙げられた楽曲からとっておきが見つかると思います」と評価します。

  • 「たまたま寄ったカフェで、『Apple Music Classicalのアプリ入れた?』という友だち同士の会話が聞こえてくるといいなと思います」と語る村治佳織さん

2人が特に注目しているのが空間オーディオです。「さまざまな音楽ジャンルのなかでも、オーケストラが空間オーディオの威力を一番体感できるのは間違いありません。これまでのステレオ音源は、スピーカーに向かって耳を傾けていたわけですが、空間オーディオならオーケストラに囲まれた中央に座って聴く感覚になります。コンサートホールの“空間”がそのまま感じられるわけで、これはとても大きいことだと感じます」と佐渡裕さんは期待を込めて語ります。

村治佳織さんも「空間オーディオなら、オーケストラの指揮者のように音の広がりを体感できますからね。オーケストラに限らず、ギターも弾いているその場の響きが聞き手にそのまま伝わると思います。ぜひ聴いてみてください」と語りました。

  • Apple Music Classical発表イベントでギターの生演奏を披露する村治佳織さん

さらに佐渡裕さんは、空間オーディオが数々の名盤の楽しみを豊かにすることにも期待を示します。「空間オーディオはミックス次第でどう響かせたいかを変えられるので、作り手の表現の幅が格段に広がります。音響の専門家も、ここ30年でもっとも革新的な変化だと語っていました。オーケストラは何十ものチャンネルで録音しているので、過去に録音した楽曲もまた違った趣で楽しめるようになるでしょうね。僕も、聞き慣れたビートルズやユーミンを空間オーディオで聴くと、新鮮な気持ちで楽しめますから」

追加料金なしで楽しめるApple Music Classicalの登場で、クラシック音楽の世界へのハードルが大きく下がることが期待されます。村治佳織さんは「子どもと一緒に音楽でタイムトラベルを楽しんでほしいですね。どこか行ってみたい国を想定して、その国で作られた音楽、その国にまつわる音楽を探せば、クラシック音楽で時間を超えた旅ができます」と、親子で気軽にクラシック音楽を楽しむ輪が広がることに期待を寄せます。

さらに村治佳織さんは、熱心なクラシック音楽ファンにもメリットがもたらされると語ります。「コンサートが終わったあと、ぜひCDを買って聴いてみてくださいとおすすめしているのですが、これからはコンサートの余韻を楽しみながらお手もとのiPhoneとAirPodsで聴けるようになりますね。観客のみなさんへのプレゼントができるようでうれしく思います」

クラシック音楽の専門家も高く評価するApple Music Classical、アプリのダウンロードが1月24日から始まりました。Apple Musicを利用している人は面倒な手続きをすることなく、すぐに500万曲もの広大なクラシック音楽が楽しめます。クラシック音楽になじみのない人も、かつて音楽の授業で聴いた曲や、テレビCMや映画で聴いたことのある曲がないかな…といった気持ちでまず試してみるとよいでしょう。

  • 「Apple Music Classicalはクラシック音楽のエキスパートから初心者まで、すべての人が満足できるようにデザインした」とプレスイベントでビデオメッセージを寄せた、Apple Music担当バイスプレジデントのオリバー・シュッサー氏

  • Apple Music Classicalを統括するジョナサン・グルーバー氏。東京フィルハーモニー交響楽団などのライブ音源を空間オーディオで収録し、Apple Music Classicalで提供していくことを表明した