世界最大級のエレクトロニクスショー「CES」、2022年は米国ラスベガスで1月5日~7日(現地時間)の会期で開催されます。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの影響を受けて、CES 2022はラスベガスの国際展示場を使ったリアルイベントと、オンラインスペースによるデジタルイベントの併催形式で行われます。

日本からはパナソニックもオンラインを中心とする展示「Panasonic CES 2022 Digital Experience」で参加しています。

事業活動、および製品からの二酸化炭素排出量「実質ゼロ」を目指す

  • 2022年、環境対策をさらに推進するため、新たに「Panasonic GREEN IMPACT」というコンセプトが掲げられました

パナソニックは2022年の事業活動全体において、環境対策により力を入れることを発表しました。新たに「Panasonic GREEN IMPACT」というコンセプトを掲げ、現在開発を進めるエコフレンドリーな次世代の技術をCESで公開。北米モデルを中心とする2022年のエレクトロニクスの新製品もいくつか発表されています。ここでは、パナソニックの環境への取り組みと発表を中心に紹介します。

現地時間1月5日に開催したCESのプレスカンファレンスには、パナソニックのCEO、楠見雄規氏がビデオメッセージの形で環境コンセプト「Panasonic GREEN IMPACT」を詳しく説明しました。

  • パナソニックの楠見雄規CEOによるビデオメッセージ、CESの開催に合わせて公開されました

パナソニックは2030年までに、全事業会社のCO2(二酸化炭素)排出量を「実質ゼロ」に押さえ込むことを目標に掲げています。さらに続く2050年までには、販売する製品からのCO2排出量を減らし、産業向けソリューションの省エネ化、クリーンエネルギー技術の推進に注力します。

活動指針を定めつつ、パナソニックグループが一丸となって目標に向けた活動を加速していくことをアピールするため、新たなスローガン「IMPACT」という言葉の背景を以下のように述べています。

「膨大なCO2という地球環境へのインパクトに対して、パナソニックがその削減に貢献しながらポジティブなインパクトを与えていくという決意が込められている。持続可能な未来に向けて行動(ACT)を起こすというコミットメントを象徴する言葉」(楠見氏)

クリーンエネルギー関連の開発を加速させる

環境関連の展示内容は、すべてオンラインの特設サイトで見ることができます。

「くらし・家」をテーマにした取り組みには、高い断熱性能を備え、生活環境のエネルギーマネージメントを支える「真空断熱ガラス」や、大気中の熱を集めて熱交換を行うことで化石燃料を用いる燃焼系の暖房機器よりもCO2排出量が約8割抑制できるヒートポンプ式温水暖房機「Aquarea」などがあります。

  • パナソニックが開発を進める「真空断熱ガラス」

北米市場向けの技術としては、パナソニックが開発・製造したDCモーターと独自のモーター制御技術によって、排気と給気を独立運転させて換気と省エネの効率を高めた熱交換換気扇も紹介されています。

また、パナソニックはビルや街全体のエネルギー効率を高め、CO2排出の削減にも貢献する「スマートシティ」をテーマにした技術の開発にも力を入れています。パナソニックの工場跡地を活用する「サスティナブル・スマートタウン」では、環境に配慮しながら社会・地域課題解決を目指す「街づくり」を進めています。第3弾プロジェクトとなる「吹田SST」(大阪府)では、「再エネ100タウン」をスローガンに掲げながら、街の中で使う電力を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指します。

  • 大阪府の吹田では「再エネ100タウン」の建設が進んでいます

パナソニックグループの事業活動を100%再生可能エネルギーで運用する取り組みは、「RE100化ソリューション」と名付けられています。純水素型の燃料電池、太陽電池、蓄電池を組み合わせ、それぞれカスタマイズも図りながら提供するソリューションを構想しています。2022年4月から、自社の草津工場で実証実験が始まります。純水素型燃料電池については、業界最高レベルとなる56%という発電効率の実現に向けた取り組みを加速します。

ほかにもビルの照明、空調、電力量など、エネルギーマネジメントのオートメーション化による省エネの実現、そして空間に最適化した照明設計・適所適光照明などの技術開発にも注力することをアピールしています。

Blue Yonder買収によるシナジー効果をAIの分野で生み出す

EV(電気自動車)を含む次世代の「モビリティ」に関連する技術は、動力となるリチウムイオンバッテリーの開発と量産、充電器制御システムなどにスポットが当てられています。いずれも環境への配慮と、開発促進に伴って発生する社会課題の解決にも合わせて対応するとしています。

クラウド型バッテリーマネジメントシステムは、電動モビリティに搭載されるバッテリーを遠隔監視・運用するユニークなシステム。2021年秋に買収した米Blue Yonderが培ってきたサプライチェーン・ソフトウェアのノウハウを生かしたAI技術によって、電欠防止など安心・最適な電池利用を支援します。

  • 米Blue Yonderのソフトウェア開発技術を生かしたAI機械学習のプラットフォーム開発を加速させます

ほか、CO2の排出量削減にも貢献するという、パナソニックの次世代向け新技術が2つ公開されています。ひとつは「ペロブスカイト太陽電池」。有機ELパネルの開発などでも実績のある、パナソニック独自のインクジェット塗布技術と材料技術を、多彩なサイズ展開ができる高効率な太陽電池モジュールに応用するというもの。この技術が確立すれば、従来は設置が難しかったビル壁面や窓にも太陽電池が設置できるようになるそうです。

  • 電動モビリティ向けのバッテリー開発もパナソニックが得意とする分野

もうひとつの革新的な技術は「アニオン交換膜型水電解」。再エネルギー電力を活用しながら低コストで水素を製造するために必要な、貴金属フリーの高活性触媒材料です。パナソニックはこの新材料の果たす役割について、「生成した水素を化学品原料や製鉄還元剤といった用途にも活用することで、カーボンニュートラル社会の実現を推進することにも貢献」と説明しています。