Texas Instruments(TI)は6月30日(米国時間)、米国ユタ州リーハイ(Lehi)にあるMicron Technologyの300mmウェハに対応した3D XPointメモリ製造ファブを9億ドルで買収する契約に署名したと発表した。
買収するのは、今のところクリーンルームを含む建屋群だけで(工場の従業員は原則としてTIが引き継ぐとしている)、製造装置は含まないという。TIとMicronは2021年末までに売買手続きを完了する予定で、TIは同ファブからの最初の売り上げについて、2023年初頭から計上する計画だという。
今回買収されるリーハイのファブは、TIの300mmウェハファブとしては、DMOS6、RFAB1、そして間もなく完成するRFAB2に続く4番目に位置づけられる。主にTIの65~45nmアナログおよび組み込みプロセッサ製品の生産が行われる予定で、将来的には、必要に応じてより微細な技術ノードへ移行する可能性があるという。
TIのリッチ・テンプルトン会長兼社長兼CEOは、「この投資は引き続き製造と技術におけるTIの競争上の優位性を強化し、長期的な生産能力増強計画の一環である」と述べている。
また、Micronは、「売却の経済的価値は15億ドルで、TIからの9億ドルの現金収入と、製造装置やその他の資産からの約6億ドルの価値で構成されている。Micronはこれらの資産の多くを他の購入者に売却し、残りを保持して他の製造サイトに再展開する」と述べているが、製造装置の売却先は、まだ決まっていないとしている。
TIは3D XPointメモリの製造を引き継ぐつもりはないため、その製造用の特殊な半導体製造装置は、必然的にかつての共同開発者だったIntelが購入することになる可能性が高いと米国半導体関係者は見ているが、Intelはまだ決めていないという。3D XPointメモリは、IntelとMicronが共同開発した次世代不揮発性メモリとして注目を集め、IntelがNANDの事業をSK Hynixに売却することを決めた際にも、手元に残している。
なお、Micronでは、今後は3D XPointメモリにかえて、CXL(Compute Express Link)によるデータセンター向けメモリ開発に注力する計画であるとしている。