アドビは6月3日、2020年4月に新卒入社した社会人を対象とする、業務のデジタル化と会社への満足度に関する調査結果を発表した。これによると、テレワークの実施頻度や企業のデジタル化への取り組み度合いが高い企業ほど従業員の満足度が高い傾向にあることが分かったという。

また就職活動時の企業選定では、業務のデジタル化を進めていることが重要だと7割以上が感じており、企業がデジタル化を進めているかどうかが採用にも影響を与えていることも明らかになった。

  • デジタル化の現状と意向

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同調査は同社が4月21日~2021年4月23日にかけて、2020年4月に企業へ新卒入社した全国の新社会人500人を対象に、インターネット調査により実施したもの。業務のデジタル化で効率が上がると思うかを聞くと、35.8%が「とても効率化される」と回答し、「どちらかというと効率化されると思う」の46.2%と合わせて8割が効率化されると考えている。

また72.4%が、業務のデジタル化を進めることは仕事のモチベーションにも影響すると回答した。社内のデジタル化がどれくらい進んでいると思うか尋ねると、「とても進んでいる」との回答は9.8%に留まり、約6割の回答者がデジタル化は進んでいないと感じている。また、回答者の約9割が業務のデジタル化を進めてほしいと考えている。

  • デジタル化できていない社内の慣習

未だデジタル化できていない社内の慣習を聞いたところ、最も多かったのは「社内書類や決済書の印刷と押印」(61.8%)であり、また「社外向け書類や契約書などへの押印や郵送」も半数以上が慣習として残っている。

  • 入社手続や就職活動とデジタル化

入社手続など、雇用契約書のやり取りなどをオンラインで行ったという回答者は全体の31.6%に留まり、多くの企業で紙やハンコなどを使った従来の方法で実施していた。

また、もしこれから再度就職活動をするとしたら企業のデジタル化への取り組み度合いは企業選定基準においてどれくらい重要だと思うかを尋ねると、22.2%が「とても重要」と回答し、「どちらかというと重要だと思う」の48.6%と合わせると、全体の70.8%が企業選定で重要になると感じている。

  • テレワーク実施頻度と従業員満足度

勤務する会社の環境に満足しているかを聞いたところ、「業務のデジタル化がとても進んでいる」という回答者では「とても満足している」との回答が49%だったのに対し、「業務のデジタル化が全く進んでいない」という回答者では6.9%と大きく差が見られ、企業のデジタル化への取り組み度合いと会社の満足度には比例関係が見られたという。

また、テレワークの実施頻度にも満足度との相関関係があり、「テレワークを毎日実施している」という回答者で「とても満足している」の割合は37.2%と高い。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大への対策として企業のテレワークが推奨される中で、企業満足度にも影響が出ていることもわかった。