Box Japanは9月25日、すでに提供中の従業員やパートナー、顧客など社内外の組織を横断したビジネスプロセスを簡素化する「Box Relay」についてオンライン説明会を開催した。

緊急事態宣言下で活用が進んだ「Box Relay」

Box Relayはコンテンツを中心にビジネスプロセスを自動化し、ファイル/フォルダにアクションが行われると、それを契機に次のアクションを自動で行う。例えば、外部ベンダーから契約書を受け取り、担当者や法務などがチェックし、上長が保管するプロセスの自動化が図れるというものだ。

ワークフローをユーザーサイドでコーディングなしで簡単に作成できることに加え、トリガーやアクションなどの機能を備え、幅広いプロセスに対応しているほか、ワークフローの進捗状況を追跡してレポートを出力することができる。

  • 「Box Relay」の概要

    「Box Relay」の概要

Box Japan 執行役員 ソリューションエンジニアリング部 部長の西秀夫氏は、同製品について「イベントトリガーとしてファイル/フォルダ/メタデータ/タスクなどの実行や手動で開始された場合、これをきっかけにRelayが動き始めてファイルの移動やコピー、電子すかしを適用させるなどイベントの結果までを自動化できる製品だ」と話す。

  • Box Japan 執行役員 ソリューションエンジニアリング部 部長の西秀夫氏

    Box Japan 執行役員 ソリューションエンジニアリング部 部長の西秀夫氏

  • Relayワークフローのトリガーと結果の概要

    Relayワークフローのトリガーと結果の概要

そして、同氏は国内において従業員3000人を抱える製造業の企業における活用事例について紹介した。緊急事態宣言前はBox Relayはそれまで活用されていたなかったが、発令された4月初旬以降は急激に活用が進み、ユーザーの文書フローを同製品で回し始めて在宅勤務をスムーズに開始できたという。

  • 製造業の企業では4月以降にRelayの活用が急激に進んだ

    製造業の企業では4月以降にRelayの活用が急激に進んだ

ユースケースとしては、上長決済が必要な文書のフロー、上長確認から部門長決済が必要な文書のフロー、開発依頼書などの部門間にわたる文書のフローと、判子リレーが必要な文書となる。

同氏は「ポイントとしては、これまでのワークフロー製品はIT部門がユーザー部門から要件ヒアリングし、要件定義した上で開発・実装・テストを経て利用開始するため、時間を要する。しかし、Box RelayであればIT部門が機能解放すればユーザー部門でテンプレートを作成すれば、すぐに利用開始でき、機能リリースまでが迅速だ」と強調する。

  • 従来のワークフロー製品と比較してRelayは迅速に利用開始できるという

    従来のワークフロー製品と比較してRelayは迅速に利用開始できるという

また、異なる企業では履歴書申請の振り分けをBoxの基本機能であるFile RequestとBox Relayを連携させており、メタデータをりようすることで応募職種に応じた履歴書の自動振り分け・採用担当のアサインを実現している。

具体的にはFile Requestで要求される応募職種などを入力・アップロード。その後、Box Relayでアップロードをトリガーに起動し、応募職種をキーにフォルダに振り分け、営業職採用担当、技術職採用担当など応募先に応じて保存先を割り振り、採用担当者に自動的に送ることを可能としている。

  • 履歴書申請の振り分けの事例

    履歴書申請の振り分けの事例

さらに、別の企業ではBox RelayとBox Shieldを連携させることで、外部の関係者に共有する前に承認を得るといったフローを組み立てることができる(分類=社内のときはA社、担当者はアクセス不可)という。

これは、作成した文書を上長にRelayを利用して承認を得て、文書の機密分類を自動的に変更することで社内外に振り分け、公開できる文書の状態で外部の人も閲覧を可能とし、取引先のA社しか閲覧できない文書となり、間違えて他のか所に移しても他の人が見れないようにアクセス制限を設けることができる。

コンテンツは基本的に動かすべきではない

Box Japan 執行役員 マーケティング部 部長の三原茂氏は最近の同社のビジネスアップデートについて説明した。

  • Box Japan 執行役員 マーケティング部 部長の三原茂氏

    Box Japan 執行役員 マーケティング部 部長の三原茂氏

同氏は「Boxは多様な働き方を支えるコンテンツ&コラボレーション基盤だ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今後はニューノーマルの時代を迎える。これまではオフィスでの定時勤務、非同期業務、判子ベースのプロセス、柔軟性のない一体型ツール、ネットワークの境界を保護、PCの利用が通常だった。しかし、ニューノーマルはアジャイル、テレワーク、リアルタイム業務、セルフサービス、デジタル化、自動化されたワークフロー、統合されたベストオブブリードのアプリ、情報とそのフローの保護、あらゆるデバイスを用いる」と述べた。

  • ニューノーマルに求められるもの

    ニューノーマルに求められるもの

コロナ禍により、同社では昨年末の顧客数が5900社だったが、今年7月時点で7300社に達し、導入企業が急速に拡大している。このような状況を踏まえ、三原氏は「企業が求めているものは簡単に作成できて、把握でき、効率が向上する仕組みだ。これは障壁となるような難しいITの撤廃、シンプルに使え、簡単にフローを変えて開始できる、進捗をリアルタイムに把握し、コラボレーションの仕組みと連携が求められているということだ」と説く。

  • Boxの導入企業は急速に増加している

    Boxの導入企業は急速に増加している

そして、同氏は「セキュリティを保ち、効率よく仕事をするために人から人へコンテンツを動かくのではなく、コンテンツに人もアプリもアクセスできることが望ましい。つまり、コンテンツは基本的に動かすべきではないことが肝要だ」と強調していた。