東急、東日本旅客鉄道(JR東日本)、伊豆急行の3社は9月4日、多様な公共交通機関や観光施設、観光体験をスマートフォンで検索・予約・決済できる観光型MaaS(Mobility as a Service)である「Izuko」の実証実験のPhase3について、伊豆エリアを中心に11月16日から2021年3月31日まで実施すると発表した。

  • サービスエリアの広がり

2019年4月から2回にわたって実施した同実証実験のPhase1及び2では、計6166枚のデジタルチケットを販売し、国内の観光型MaaS事例の中では高い販売実績を上げたという。一方で、サービスエリアや商品の内容、決済方法をはじめとする機能面など、解決すべき課題も多く残ったとしている。

この課題を踏まえてPhase3では、サービスエリアの拡大、商品数の拡充、機能の改善の3点を実施する。

  • サービスエリアの広がり

1点目のサービスエリアについては、これまでの東伊豆及び伊豆エリアに加え、西伊豆、静岡市エリア、富士山静岡空港に拡大する。エリア拡大に伴い、鉄道やバスなどに加えてフェリーも利用可能なデジタルフリーパスを新たに販売する。

2点目の商品数については、サービスエリアの拡大に合わせて交通商品数をPhase2の6種類から110種類に拡充する。また、Phase2実施時における「利用者数の増加には、伊豆への来訪目的の創出が不可欠」との結論を生かして、観光施設・観光体験の商品数をPhase2の約5倍となる約110種類へ拡充する。

観光体験では、下田港で水揚げしたばかりの金目鯛を市内の料理店で希望の調理方法で味わうことができるなど、伊豆の魅力を楽しめるオンリーワンの体験コンテンツを地元事業者と連携して開発するという。

その他、産業観光プラットフォームである「CRAFTRIP」を運営するmyProductと提携し、より幅広い体験コンテンツを提供するとしている。

3点目の機能改善では、Phase2実施時に要望が多かったというチケットの事前購入機能を導入すると共に、さらなる利便性向上に向け、登録・決済方法を拡充する。

Phase2までは当日購入のみだったが、Phase3では期間中に購入したチケットを利用者の好きなタイミングで利用するという使い方が可能になる。

Izukoへの登録時には、従来のメールアドレスやGoogleアカウントに加え、新たにLINEや楽天のアカウントでも登録可能になり、決済時にはクレジットカード決済に加え、モバイルSuicaや楽天ペイ(オンライン決済)での決済も可能になるという。

また、伊豆地域へのアクセスに新幹線を使う利用者に向けて、東海道・山陽新幹線のインターネット予約サービスである「エクスプレス予約」「スマートEX」との相互リンクによる連携を実施するとしている。

  • 各フェーズの比較

加えて、美しい伊豆創造センターと協力し、特に混雑が見込まれる駅や観光施設の混雑状況をスマートフォンで表示し、密を回避しながら安全安心に周遊できるようにするなど、Withコロナでのニーズに配慮した新機能を盛り込むという。

スマートフォンでチケットを購入し、画面を提示して交通機関や観光施設などを利用することで、対人接触を避けながら移動や観光が楽しめる「MaaSならではの利点」を生かし、Withコロナ時代にも伊豆半島の活性化に資するサービスとして社会実装を目指し、展開するとしている。

なお、Phase3の詳細は10月下旬頃に発表する予定だ。