Stripeは、小売業・飲食業・サービス業・金融業または保険業を中心にECでサービスを展開している全国の従業員数1000人以上の大企業を対象に、エージェンティックコマースへの対応の準備状況に関する調査を実施した。
約7割が影響を予測 - 日本企業で進むエージェンティックコマースの認知
エージェンティックコマースは、新たな購買行動の一形態でAIエージェントが商品の検索から比較、購入まで行う仕組み。調査によると、日本では未展開ではあるものの、エージェンティックコマースという言葉や概念は浸透しはじめているほか、約7割の企業が近い将来に日本のビジネスに何らかの影響を及ぼすと予想している。
エージェンティックコマースが既存のECモデルに与える影響について、その理解度を質問したところ、全体の約7割(70.3%)が言葉を知っている、あるいは概要を理解していると回答。多くの企業担当者の間で「エージェンティックコマース」が浸透し始めていることが明らかになったという。
また「今後3~5年で、AIエージェントによる購買行動が自社業界に与えるインパクトをどう予想するか」という質問に対しては「ビジネスの一部が変わる(既存チャネルの一部が置き換わるなど)」(43.3%)、または「既存のビジネスモデルが根本的に変わる」(22.0%)と何らかの影響を予想する企業も約7割弱(65.3%)いることが分かった。
導入検討は6割、現場先行で進むエージェンティックコマース対応
エージェンティックコマースに対する関心が最も高い層としては「現場責任者・プロジェクトリーダーレベル(中間層)」(27.0%)、「実務担当者・開発者レベル」(20.5%)「役員・上層レベル」(15.3%)という結果になった。現場で実際に手を動かす層の間ではエージェンティックコマースの関心が高まっているものの、最終的な意思決定を行うマネジメント層との間にはいまだ温度差があるとのこと。
エージェンティックコマースの導入に関しては、全体の57.5%の企業が「検討中」と回答しており、そのうち64.4%が3年以内の導入を視野に入れている。なかでも15.7%は「1年以内」としており、一定数の企業が早期導入に踏み切ろうとしている状況がうかがえる。
また、対応状況について「すでに予算化している」(14.7%)、「来年度以降に予算化予定」(18.8%)、「検討中だが未定」(24.0%)と、全体の約6割の企業(57.5%)が導入を検討していることが明らかになった。
導入により期待する効果の質問に対しては「自動化・業務効率化」と「購買率・売上向上」と回答した企業がそれぞれ41.7%、41.5%と順に多い結果になった。導入でコストの削減だけでなく売り上げの伸びといった、大きな事業成長の機会につながる可能性が期待されていることが分かったという。
導入に向けてはセキュリティ対策や顧客データ基盤の整備を含めたシステムのアップグレードや連携を必要とする企業が多く存在している。さらに、導入の懸念点として「社内の人材不足」が最も多く、AIへの信頼性もハードルの1つであることが判明した。
人材不足とセキュリティが課題、適用が進みやすい商品カテゴリとは
一方で、導入に向けてはさまざまな領域においての対応が必要となっており「セキュリティ対策の整備」(40.7%)をはじめ、エージェンティックコマースの運用に不可欠となる「顧客データ基盤の整備」(34.5%)や「決済インフラの整備」(25.8%)、「API・システム連携」(25.8%)などが上位となっている。
同時に、エージェンティックコマース導入に関する懸念として最も多かったのは「社内の人材不足」で、35.8%の企業が挙げており、経済産業省が2026年1月に公表した統計によると、日本では中期的にAI人材が300万人以上不足すると見込まれ、限られた人的リソースを有効活用するとともに、最新のAI技術を効率的に導入することが求められているという。
また「AIの判断に関する信頼性・透明性」(34.2%)や「顧客データの取り扱いに伴うセキュリティリスク」(33.5%)を挙げる企業も多く、特にセキュリティ懸念が強い日本ではAIの精度向上に加えて、信頼を確立する仕組みを整備することが重要であることがわかった。
エージェンティックコマースが受け入れられやすいと思う商品カテゴリについては「日用品・消耗品」「食品・飲料」「サブスクリプションサービス(動画配信、音楽など)」が上位となった。企業側も「定期購入・リピート購入の自動化による利便性向上」など価値の提供を期待していることが判明し、少額で継続的な利用が想定されるサービスでの需要が想定されていることが明らかになった。
エージェンティックコマースが受け入れられやすいと思われる商品カテゴリについて質問したところ、上位から「日用品・消耗品(トイレットペーパー、洗剤など)」(33.0%)、「食品・飲料」(29.2%)、「サブスクリプションサービス(動画配信、音楽など)」(28.0%)という結果になり、現時点においては趣味趣向による都度判断の必要性が低く、かつ継続的な利用が想定されるサービスにおいて、エージェンティックコマースの需要があるという見方ができるという。
さらに、エージェンティックコマースで消費者にどのような価値を提供できると期待していますかという質問に対しては「定期購入・リピート購入の自動化による利便性向上」(34.7%)と回答した企業が最も多く、企業側も現時点においてはエージェンティックコマースは継続的な利用が想定されるサービスにおいて、価値を提供できると捉えている。
加えて、エージェンティックコマースで顧客との関係性(接点・コミュニケーション)がどのように変化すると考えているかという問いには、約3割の回答者が、エージェンティックコマースの導入で消費者と「より良い関係性が築ける」(27.2%)と捉えており、これは「消費者との接点が減少することを懸念している」(23.0%)よりも多く、自動化によるメリットなどを含めた新たな関係性を構築できることへの期待が伺えるとのことだ。


