日本全国の8000人(iOSとAndroid各4000人)の調査協力モニターから取得するアクセスログ情報を基に作成したスマートフォン視聴率情報である「ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView)」のデータによると、ユーザーのスマートフォン利用時間はアプリが92%を占め、2018年12月と比べて8ポイント増加したという。ニールセン デジタルが3月24日に発表した。

  • スマートフォン利用時間シェア

アプリ利用時間の増加は、スマートフォン利用時間増加のみならず全体のメディア視聴にも大きく貢献していることから、アプリのマーケティング担当者やアプリ開発者にとっては大きなビジネスチャンスをもたらしていると同社は分析する。

アプリの利用時間増加と共に、1カ月に利用するアプリの数の増加も見られたという。

18歳以上のユーザーでは1カ月に1回以上利用する数は平均34.6個となり、2018年から約4個増えている。増加数が最も多かったのは18歳から34歳までで、2018年から4.5個増加している。

一方で、月間利用するアプリの数は増えても、毎日利用するアプリが増えるとは限らないという。

  • 月間利用回数別のアプリ数

18歳以上が毎日(月間31回以上)利用するアプリの数は8.8個であり、2018年と比べて0.8個の増加に留まった。消費者にアプリの選択肢が増えている中でも、日常的に利用するアプリは使い慣れているものに留まる傾向にあると同社は見ている。

  • 利用アプリ数が増加したカテゴリ(若年層)

アプリの選択肢増加に伴い、月間で利用するカテゴリ別のアプリ数にも変化が現れつつあるという。

2018年と比べてアプリの増加数が最も多かった18歳以上34歳までの若年層において、月間に利用するアプリの個数が増加したカテゴリ上位5つを見ると、エンターテイメントでの増加が最も多く、TikTokの利用拡大や多様な動画配信サービス、漫画やゲームアプリの利用者の増加が影響しているとのこと。

Eコマースやファイナンスでは、新しいフリマアプリや各ペイメントアプリが大きく利用者数を伸ばしているという。

このようなアプリは同じカテゴリの中で利用時間を奪い合う代わりに、ニッチを見つけ出し、消費者が同じカテゴリ内でも複数の新たなサービスカテゴリを利用する環境を生み出すことで利用者数の拡大を可能にしているのではないかと同社は推測する。

今後各アプリのマーケティング担当者や開発者は、エンゲージメントを高め利用頻度を高めることが重要な課題になるとしている。

同社アナリストのコヴァリョヴァ・ソフィヤ氏は、「アプリの利用時間や利用される数の増加は、各アプリのマーケティング担当者や開発者に絶好のビジネスチャンスをもたらします。このような環境の中で成功の鍵となるのは、どれだけ消費者に寄り添うアプリとなり毎日利用してもらえるか、ということではないでしょうか。消費者が日常的に利用するアプリは、普段使い慣れているものを選択する傾向にあります。豊富にあるオプションの中から自社のサービスを選択してもらうためにも、アプリのマーケティング担当者や開発者は、共感できるコンテンツの提供やアプリのUI・UXの向上、または新しいニッチを見つけ出しサービス展開するなど、高品質なユーザー体験を提供することが一層重要になるのではないでしょうか」と述べている。