NECは3月17日、グループ会社であるNECプラットフォームズの工場における生産の効率化に向けて、量子コンピュータの適用技術であるシミュレーテッド・アニーリングマシンを活用したシステムを導入すると発表した。具体的には、SMT(Surface mount technology:電子部品の基板表面実装)装置を用いた生産における計画立案にシミュレーテッド・アニーリングマシンを用いて、最も効率的で無駄のない製品製造プロセスを算出し、計画内容に反映させる。

同社は同様の実証実験を2019年9月~2020年2月に行い、従来は熟練の作業者が数十分かけて決めていた生産計画と同等以上の計画を数秒で求めることに成功しており、属人的だったスキルをシステム化し、人材不足やスキル継承などの課題解決に貢献するという。

近年、工場では多様化するニーズに素早く対応するために、マスカスタマイゼーションに対応できる生産方法にシフトしているが、マスカスタマイゼーションに対応する生産方法では多品種で共有される生産設備のスループット最大化やリソース最適化のために、計画業務が複雑化するとともに、計画立案が熟練作業者のスキルに依存する傾向にあり、将来のスキル継承も課題となっているという。

今回導入したシュミレーテッドアニーリングマシンはベクトル技術を活用しており、一般的に規模が大きくなりがちな最適化問題を的確に分割したり、分割した最適化問題を効率よく解いたり、最終的に現場の状況に調整したりする部分で、従来のアルゴリズムとアニーリング手法を複雑に組み合わせたアルゴリズムを新たに開発している。

今後、同社は量子コンピューティング技術の適用検証をものづくり領域全般に拡大し、スマートファクトリーの実現を加速していく考えだ。