ABEJAは3月5日、AI開発の初期仮説検証が簡単にできる「ABEJA Platform Accelerator」(α版)の試用を開始したほか、次世代テクノロジーの研究開発プロジェクト「ABEJA X」を開始し、第1弾として量子コンピュータのソフトウェア開発に向けた研究に着手すると発表した。

ABEJA Platform Acceleratorは、プログラミングなどの専門知識を要さずに、非エンジニアもAIの実装に欠かせない仮説検証を迅速・安価に進められるようになるという。

AIモデルの開発では、事前に立てた仮説の検証を初期段階で繰り返すことで、運用上の課題を見つけておくことが性能向上には不可欠だが、検証のプロセスは対象データの大量収集から計算リソースの確保、モデル開発・実験まで多岐にわたり、これらを運用できる専門知識を持ったエンジニアも必要なため、多大なコストを要するなどの課題があると指摘。

ユーザーが学習に必要な画像などのデータをアップロードすると、ABEJA Platform Acceleratorにあらかじめ用意されたAIモデルがそのデータを学習し、高度な作業を要さず、学習結果の精度を評価するレポートを入手する段階まで進めた結果、これまでコストを要していた検証のためのAI開発のプロセスが簡略化されたという。

また、学習したAIモデルをWEB上で外部システムに共有できるAPIとして提供するサービスも検討しているほか、教師データの作成を省力化する「ABEJA Platform Annotation」なども活用することで、AIの初期仮説検証から実証実験、本番運用まで一貫してスムーズなAIモデルの開発を可能としている。

一方、量子コンピュータに関しては、米国を中心に「ポストAI」を見据え、最先端のテクノロジーの実用化に向けた研究が進んでおり、特定の分野ではスーパーコンピュータを大きく凌ぐ処理能力を持つとされ、実用化による産業の革新も期待されているという。

同社は、ポストAIのテクノロジーとして量子アニーリングの将来性に着目し、同分野の一人者である東北大学大学院情報科学院准教授の大関真之氏を技術顧問に迎え、量子アニーリングのコンピュータを用いたソフトウェア研究開発を進めていく。また、4月に設立予定の研究機関や企業による「量子アニーリング研究開発コンソーシアム」(仮称)にも参画する方針だ。