オフィスビルや商業施設の利用実態を画像解析で得たデータを活用することで把握し、管理業務の効率化や改善に向けた提案・支援を行うサービスが、NTT都市開発ビルサービスとNTTテクノクロスの共同で開発された。2018年1月から3月にかけてはオフィスエリアと商業エリアを持つ品川シーズンテラスにおいて実証実験も行われている。

  • 建物分析レポートのサンプル

「このサービスは、建物の運営管理を効率化するためのサービスです。実証実験では廊下の通行状況や荷さばき用駐車場での車の動きなどを検証し、効率化に向けた提案を行うことができました」と語るのは、NTT都市開発ビルサービス ビルサービス事業本部 ビル事業企画部 担当課長の船津岳彦氏だ。

  • NTT都市開発ビルサービス ビルサービス事業本部 ビル事業企画部 担当課長の船津岳彦氏

サービスのベースとなっているのは、NTTテクノクロスの持つ画像解析ソフトだ。NTTグループ内で普段から行われている技術交流の中で、建物管理に有効なものとして紹介されたのがサービス誕生のきっかけとなった。検証のために新たに高機能なカメラを設置するのではなく、既存の防犯カメラ等を流用できるのが大きな特徴となっている。

「一日分など指定時間分を録画したデータからの解析で、リアルタイム解析ではありません。他社の類似サービスではリアルタイム解析のものも多くありますが、そのためにはシステムの刷新が必要です。このサービスでは不足する部分に簡易なWebカメラを追加する程度で、簡易に実態分析が行えるのがポイントです」とNTT都市開発ビルサービス ビルサービス事業本部 ビル事業企画部 担当課長代理の山﨑麻佑子氏が語る。

  • NTT都市開発ビルサービス ビルサービス事業本部 ビル事業企画部 担当課長代理の山﨑麻佑子氏

価格は、既設カメラ1台を利用して1レポートを作成する場合で50万円からと、最新型のカメラを設置して解析するよりはかなり安価に収まる設定だ。ほぼ予測はついているが実情を数値で把握したい、本格的な解析の前に状態を理解したい、最新型システムではオーバースペックであるといった建物オーナーにとって魅力的なサービスになっている。

「一般的な動画形式ならだいたい対応可能ですが、国産防犯カメラに多い独自形式のものについては基本的に画面キャプチャで対応します。ビデオマネジメントシステムを経由して対応することも可能ですが、それでは500~1000万円というコストがかかります。より安価に、既存の設備を有効活用してサービスを提供できるようにしています」と語るのは、NTTテクノクロス IoTイノベーション事業部 第一ビジネスユニット マネージャーの除補由紀子氏だ。

  • NTTテクノクロス IoTイノベーション事業部 第一ビジネスユニット マネージャーの除補由紀子氏

画像を解析して数値化し、レポートを作成する部分をNTTテクノクロスが担当し、そこに長年の運用管理から得たノウハウを加えて建物オーナーへのコンサルティングを行うのがNTT都市開発ビルサービスという役割分担になっている。