連接車はオーバーハングがない分、1両あたりの長さがボギー車より短い。例えばVSEは10両編成だが、全体の長さは一般的な1両あたり20m級車両に換算すると7両分しかない。

20m級×7両=約140mという長さは、箱根登山鉄道の小田原~箱根湯本間に乗り入れ可能な列車の限界でもあり、小田急ロマンスカーはこの制限を受ける。GSEも20m級車両の7両編成である。

特急型車両の乗降扉は、必ずしもホームドアに対応する位置にはない。写真はGSEに次いで新しいMSEの例

反対に、列車全体の長ささえ合っていれば、これまでは連接車であれボギー車であれ、営業運転に差し支えはなかった。しかし、安全上からホームドア設置が求められるようになると、車両1両ごとの長さや、乗降扉の位置などにも制限がかかるようになってきた。要するに、ホームドアと列車の扉の位置が合っていなければ、乗降が困難になるのだ。

ネックは特急型車両?

多くの鉄道会社における通勤型電車は、20m級の車体に片側4ヶ所の扉を持つタイプだ。そして、その路線のすべての車両が同じタイプにそろっているならば、ホームドアの導入は難しくない。JR山手線がよい例である。

しかし、小田急ロマンスカーのように、車体の長さも扉の位置も異なる車両が同じ路線を走っている場合は、少々厄介である。VSEが2005年、次のMSEは2008年に登場しているが、小田急で初めてホームドアが設置されたのは2012年の新宿駅。それも急行、快速急行などが発着する4・5番ホームのみで、特急ロマンスカーが停車する駅、ホームには、いまだどこにも設置されていない。