NECと日本電産は、無線ネットワーク経由で小型コンピュータを内蔵したモータであるインテリジェントモータを、遠隔からリアルタイムかつ高精度に協調制御する技術を共同開発したことを発表した。

  • 無線での協調制御技術の仕組み

    無線での協調制御技術の仕組み

IoTの普及に伴い、さまざまなロボットが無線ネットワーク経由で遠隔制御されるようになっている。また、ロボット単体での作業から複数ロボットでの協調作業への進化が求められてきている。しかし、高精度なリアルタイム制御を必要とするロボットを、無線ネットワーク経由で遠隔から協調制御しようとすると、通信遅延によってロボットからのデータや制御コマンドが時間どおりに到着しないため、正確な協調制御が実現できないという課題があった。

このたび両社は、オープンイノベーションとして、ロボットを駆動するインテリジェントモータに対して、NECの無線通信技術と日本電産のモータ間同期技術を融合させることで、リアルタイムかつ高精度なロボットの協調制御を実現した。

NECの無線通信技術は、無線ネットワークにおける通信遅延を考慮してインテリジェントモータの状態を正確に予測するとともに、予測に基づいた先回り制御によりインテリジェントモータのリアルタイムな遠隔制御を実現した。

一方、日本電産のモータ間同期技術は、複数のインテリジェントモータ同士で密に会話することにより、複数インテリジェントモータ間、またインテリジェントモータを搭載した複数ロボット間での高精度な同期を実現する。

また、従来ではロボット側に必要だった高価な制御用コンピュータが不要となり、その結果、例えば工場や倉庫の搬送業務においては、高コストの大型自動搬送車ではなく、低コストの小型自動搬送車を複数台組み合わせ協調させることで様々な形状・重量の荷物を搬送可能になり、オペレーションの低コスト化に繋がる。

今回、工場や倉庫での自動搬送車を想定した実験を、周辺機器からの通信やノイズの影響で無線が不安定である環境下で行い、搬送効率を従来比で30%改善できることを検証したということだ。

なお、NECはこの成果に関して、2018年1月12日〜14日に米国・ラスベガスにて開催される「IEEE International Conference on Consumer Electronics(ICCE) 2018」において、14日に発表予定となっている。