SaaS大手の米Salesforce.comが10月4日から7日まで、米サンフランシスコで年次イベント「Dreamfore 2016」を開催中だ。今年の目玉は9月に発表していたAIの「Einstein」。10月5日のメインの基調講演では、共同創業者で会長兼CEOのMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏自らが顧客やパートナーにEinsteinをお披露目した。

Benioff氏の基調講演はいつものように、顧客、パートナー、社員などに対する「Thank You」という感謝の言葉から始まった。1999年、当初珍しかったクラウドベースでソフトウェアを配信するというモデルを実現すべくBenioff氏らが創業したSalesforce、現在会計年度2017年の売り上げガイダンスは83億2000万ドル、2万4000人の従業員を抱えるにいたった。

「2020年には3890億ドルのGDPインパクトを与える規模になり、2020年までに200万人の雇用を創出する」とBenioff氏は予想を披露、「これらを一緒に達成できた。ありがとう」と続けた。

SalesforceのCEO、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏

Benioff氏はSalesforceのコアバリューとして、信頼、平等、成長、イノベーションの4つを示した。平等では先月、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、ジェンダークィア)、男女間の同一機会、同一賃金などに取り組むため、先に最高イコーリティ責任者として元MicrosoftマーケティングのTony Prophet氏を任命したところだ。

Salesforceは創業時より1/1/1モデルとして、1%の時間を社員のボランティア活動に当て、非営利団体への製品の寄贈や割引、非営利団体助成を実践している。

「これまで160万時間を費やし、2万9000の非営利団体の支援、1億2800万ドルの助成金」とこれまでの実績を語る。Salesforceが考案した1/1/1モデルは、Googleをはじめ、多数の企業が導入している。

次にBenioff氏は、製品と技術について語った。

「時代は、ネットワークに接続された端末に囲まれるモノのインターネットに入りつつある。ヘルスケアバンドのFitBit、Uberなどの新サービスはもちろん、既存の自動車メーカーもコネクテッドカーや自動運転カーに取り組んでおり、歯ブラシまでもがコネクテッドになった。750億のデバイスがクラウドにつながっている」とBenioff氏。これが企業に意味することは、「顧客にもっと近くなれる」と続ける。

「顧客の時代にあって、企業はどこも顧客との距離を縮めようとしている。Salesforceは最先端の技術を顧客が容易に利用できるように、クラウドを通じてソーシャル、モバイル、IoTなどを取り込んできた」とBenioff氏、そして今回、AIにも対象を広げる。

そこでSalesforceが行ったことは、AI機能の構築、AI機能のプラットフォームへの組み込みだ。