子会社であるヤフーについては引き続き好調で、ディスプレイ広告やショッピング(流通)事業が伸びている。決算では、米Yahoo!がVerizon Wirelessに買収される可能性を記者が指摘したが、孫氏によると「少なくともYahoo! Japanは独立事業者としてソフトバンクとともに歩んできており、仮に買収が成立したとしてもブランドを毀損する可能性は低い」としていた。

Yahoo! Japan関連の事業について。ディスプレイ広告の伸びやイーコマース新戦略での取扱高増などをアピールする

そして同氏が「その他」の1つとして紹介した「Pepper」だが、月間1000台の販売枠が7カ月連続、わずか1分で完売するという状況をアピールしつつ、Pepper for Bizを通じて500社以上がすでに導入を決定していることを紹介した。「作れば作っただけ売れる」というこのPepper事業だが、まだ具体的な売り上げなどの数字は出しておらず、「他の事業には及ばないが急成長中」の今後に期待という状況のようだ。

まだ具体的数字は提示していないものの、Pepper事業も将来的な伸びが期待できそうだ。特にPepper for Bizについては500社以上の企業が導入を決めたという

投資資産については、前回までの四半期決算発表会同様に「イーコマース」「トランスポーテーション」「ゲーム」「フィンテック(FinTech)」の4分野に分けて解説を行っていた。イーコマースの分野では、インドネシアの電子商取引サイトである「Tokopedia」とインドの空室照会サービスである「Oyo」の2つが新たに注目スタートアップとして紹介されている。

投資事業は実際に関わってから芽が出てくるまでに時間がかかるが、「当時Alibabaがここまでソフトバンクの資産として影響を及ぼすとは、誰もその影響に注目しなかった」と孫氏は自身の功績をアピールする。だが実際に、今回のスライドとして紹介されている会社はソフトバンク全体の投資案件のごく一部であり、AlibabaやYahoo! Japanは"かなり希有な成功事例"といえるだろう。

非常に難しい投資事業ではあるが、ソフトバンクはネットサービスが急成長中のアジア地域に積極的な投資を行っていることもあり、今後も、今回のTokopediaやOyoのように注目企業として新たに紹介されるものが出てくることだろう。

投資資産は未上場のものも含め、中国やインドでのイーコマースや配車サービスなど主にアジア圏での著名サービスが中心となる。アジア中心ではあるが、急成長中の事業を多く抱えており「アジアにソフトバンクあり」というアピールにもなるだろう

このほか、FinTech分野では学氏ローンのSoFi (Social Finance: ソファイ)が米国発のスタートアップとして紹介されているが、孫氏によれば米シリコンバレーにいる部隊が引き続き現地でウォッチを続けており、良い投資案件があると判断すれば今後も引き続きFinTechに限らず投資を行っていく意向だという。

米国からはFinTech案件として今回も「SoFi」を紹介。SoFiは「時間さえあれば3時間でも話したい」と入れ込む案件だが、シリコンバレーには技術系スタートアップや関連事業を定常的にウォッチする専門部隊が常駐しており、つねに投資案件を探っているとのこと

最後に、過去のVodafoneから買収直後の携帯電話事業を立て直して現在の水準に持ち上げたことを振り返りつつ、(主にSprintの)苦境を立て直すことを楽しみにしていると孫氏は強調する