マイナビ出版は10月23日、10年を越えるロングセラーとなっている『ヤマハルーターでつくるインターネットVPN 』の改訂新版 [第4版]の出版記念イベントを開催した。

同セミナーでは、著者である井上孝司氏が「ヤマハルーターでつくろう! 見えるネットワーク&VPN 」と題して、実際に書籍の内容に沿った形で、同氏が同社ルーターの最大の売りとするVPNの構築や、最新ルーター「RTX1210」で機能強化されたLANマップについて、実機によるデモを交えて紹介。特にLANマップについては「これが欲しいから買いましょう、といっても良いくらいの機能」と太鼓判を押すほどであった。

また同氏は、セミナーが読者を対象としたものとあって、執筆にあたっての裏話も披露。内容も版を重ねるごとに、さまざまな設定例を追加したり、時代の変化に併せて消したりと、ユーザーの使い方と時代の要請に合わせた内容作りを心掛けてきたことを強調していた。

セミナーでは著者の井上孝司氏の講演などのほか、参加者などからヤマハの担当者や著者が質問を受け付けるトークセッションなども行われた

井上氏の講演は、書籍の内容に沿って、実機を使ったデモをその場で見せつつ進行するというものとなっていた。写真は、実際にデモに使われた機材

このほか、同セミナーでは、ヤマハの社員が登壇し、中国などではスマートゲートウェイと銘打って販売を行っている海外モデル「SGX808」を例に、海外、特に中国や東南アジアではどういった使われ方をしているのか、その背景にはどういった事情があるのか、といったことを紹介したほか、同製品には簡易サーバ機能も搭載しており、サーバアプリケーションも動作するため、もしこうしたアプリケーション開発にも興味を示した人がいれば、ぜひ、我々に声をかけてもらいたいと、その場で営業をかける姿も見られた。

ちなみに、SGX808は現時点ではASEAN各国にてテストマーケティングを行っている段階にあり、日本での発売予定は現時点ではないとのこと。ただし、アプリケーションの開発におけるパートナー企業については、日本も海外も問わず募集しているとのことで、海外に進出を検討している日本企業への支援といった案件などもあることから、積極的な参加を促していた。

ヤマハが提供するネットワーク製品の一覧。SGX808のように、海外のみで展開している製品も存在する

さらにヤマハからは、ヤマハネットワーク機器の設定・利用・運用などを行うネットワーク・エンジニア向け業界特化型ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)のヤマハネットワークエンジニア会「YNE(呼称:いーね)」の紹介ならびに、同SNS上で10月15日より提供を開始したばかりのe-learningコンテンツ「YNEドリル」についての紹介も行われた。YNEドリルは、同社がより多くの人たちにネットワークエンジニアとしての知識を獲得してもらいたい、との想いから作られたもので、PCのほか、スマートフォンやタブレットからでもアクセスでき、製品に関することから、ネットワークの基礎知識まで幅広く一問一答形式で出題されるドリル。ドリルは正解数に応じて、ブロンズ→シルバー→ゴールドとランクアップしていき、ゴールドに達したユーザーは、ヤマハルーターの設定に関するハイレベル問題が出題されるようになるとのこと。

問題はランダムで出題され、10月23日時点で全部で300問以上あるとのことだが、すでに1名のユーザーが全問正解を達成したとのことで、同社も「こんなに早く解いてもらえるとは思っていなかった」と驚嘆の声を上げていた。

YNEドリルのスコアに関する説明。全375問すべてに正解すると、ゴールドのさらに上のランク「プラチナ」をもらえる

また、こうした取り組みを開始した背景については、「数年前から、音楽教室はあるのに、ルーターやネットワークの教室はないのか、といった声を聞く機会が増えてきた。そういう声もあり、教室をリアル店舗として運営するのは難しいが、YNEを2013年夏に立ち上げたこともあり、これから新たにネットワークエンジニアとして入ってくるであろう新入社員などにも技術の習得支援などを行っていきたい、という想いとコミュニティの活性化につながれば、という期待を込めて、YNEドリルという知識を試す場所を用意させていただいた」と説明。自分の技術や知識を確かめる1つのツールとして試してもらえればと思っていると述べ、こうした活動を通じて、ヤマハとしても商品を単に提供するだけでなく、どういったことがユーザーの役に立つのか、といったことも見ていきたいと、ユーザーあってのヤマハであることを強調した。

なお、YNEでは、実機(ルーター)を遠隔から確認する遠隔検証システムもベータ版として提供しているとのことで、手元に機材がない場合でも、より手軽に実機検証を可能とするサービスも提供しているとのことで、そうした取り組みを通して、ユーザーがこうしたことに困っている、といった新たな課題の探索や、ユーザーの支援などにつなげていきたいとしていた。