チップセット - プラットフォームの刷新はしばらく先に

Intelは引き続きメインストリーム向けに対しては、2チップ構成(CPU+SCH)を取り、SoCはUltra Mobile向けのみとなるが、AMDはCarrizoの世代で完全にSoC化を行ってしまうことをJoe Macri氏が明らかにしているので、AMDのFCHは現行世代で終了ということになる。

加えて言えば、AMDは現在Project Skybridgeを開発中であるが、この世代ではARMとx86が共通のFabricに接続される、としている。つまりOpteronグレードの製品はFabricの接続が前提となり、従来チップセットの中で提供されていた機能は、Fabric経由での接続になってゆくと見られる。

もちろん全部がそうなるというわけではなく、USBとかSATAなどは引き続きローカルの接続になると思われるが、これはCPU側に統合されると見なすのが妥当であろう。つまり、APUのみならずDiscrete CPUに関しても、もうチップセットが提供される可能性はなくなった、と思われる。

というわけで、チップセットに関してはIntelのみということになるが、まずBroadwellに関しては現在のIntel 8/9シリーズがそのまま利用されるので、ここでの刷新は何もない。

ではSkylakeは? というと、Intel 100シリーズと呼ばれるチップセットが用意されているらしい。ただ先にCPUの所でも述べた通り、Skylakeで最初に登場するSKUは現在のBroadwell-U/Yの置き換えで、これはSoCタイプなのでチップセットが必要ない。そんなわけで現実にIntel 100シリーズが登場するのは2016年になりそうな雰囲気が漂っている。

このIntel 100シリーズであるが、最大の違いはDMIが従来のDMI 2.0からDMI 3.0になることだ。DMI 2.0がPCI Express Gen2×4なのに対しDMI 3.0はPCI Express Gen3×4となり、USB 3.0(3.1対応になるかどうかはかなり微妙)やSATA Expressなどを接続したときのスループット改善に繋がると見られる。

もっともそれ以外はどうか? というとあまり違いはなく、SATAポートが大幅に増えるとか10GbEを搭載するといった事もないようだ。一時期Intelは10GBASE-Tを強力に推進しており、サーバーだけではなくハイエンドデスクトップにまで搭載しかねない勢いだったが、案の定普及は遅れており、さすがにこの世代でも搭載はあきらめた模様だ。細かいところではWirelessやThunderboltなどのコントローラも更新されているが、これはチップセットそのものではなくプラットフォーム全体としての更新で、チップセットそのものは大きな違いは無い様だ。

このIntel 100シリーズは、これまでの流れで言う限り、次のCannonlake(以前はSkymontという名前だったが、変更になった。10nmプロセスを使うSkylakeのTick版)でも利用できるはずだが、この世代でまだIntelがチップセットを別途必要とする構成で提供するのかどうか、というレベルで謎である。少なくとも現状では一切情報がない。まぁ現実問題として10nmプロセスの製品が登場するのは早くて2017年だから、急ぐ必要はないのだろうが。

最後にハイエンド向けであるが、X99は次のBroadwell-Eでもそのまま利用されるものと予想される。更新されるのはSkylake-Eが登場する時期と思われるが、こちらも早くて2017年以降と思われ、いまのところ情報は皆無である。

ということで、2015年に関して言えば、Intel向けのマザーボードに関しては技術的には大きな違いは見えない。ただそのままだとマザーボード業界の売り上げが立たないので、Intel 9x Refreshとか銘打って何かしらの違いを出した製品を販売する可能性はある。もっとも、具体的にどんな違いをそこで作るのかはちょっと謎だが。