AMD APU - Carrizo/Carrizo-L
Intelとは別の意味でプロセスに苦しんでいるのがAMD。CPU/APUに関してはTSMCとGLOBALFOUNDRIESの両方を利用しており、これは今後も続くことになる。現在のKaveriに続いてCarrizoが予定されていることはこちらに紹介した通りだが、AMDの示したロードマップにも有る通り、Carrizo/Carrizo-LはともにGLOBALFOUNDRIESの28nmプロセスを利用する。
本来ならばAMDはCarrizo/Carrizo-Lの世代はGLOBALFOUNDRIESの20nmに移行したかったのだが、GLOBALFOUNDRIESがロードマップを変更してしまい、20nm→14XMという移行パスが無くなってしまった関係でこの目論見が潰えてしまった。
もともとIntelにしてもAMDにしても、動作周波数が3GHz以上という超高速ロジックなので、例えばTSMCの28nm HP(High Performance)でも間に合わない。それもあってKaveriでは28nm SHPというAMD専用のプロセスをGLOBALFOUNDRIESは用意した。
20nmに関してはSHPの用意はないのだが、当時は20nm→14nmのマイグレーションパスが用意されていたのでこちらで対応するという予定だったのが、Samsungの14LPE/LPPに切り替わったことで、このマイグレーションパスのプランそのものがご破算になってしまった。結局GLOBALFOUNDRIESの20nmは事実上GPUとARM CPU向けのみに使われるのみで、x86 CPU/APUで利用するという話は無くなってしまった。なんでGPUやARM CPUではOKか? というと、これらの製品は
- 動作周波数そのものはそれほど上がらない(GPUで1GHz前後、ARM CPUでも2GHz以下)
- 動作周波数を上げない代わりにマルチコア化やシェーダ数増強が著しく、なのでロジック密度を高める必要がある
という製品構成なので、動作周波数向上は見込めないがロジック密度向上が期待できる20nmに適しているからだ。
では次のx86 CPU/APUはSamsungの14LPE/LPPかというと、それもはっきりしない。というのは、(これも後述するが)そもそもSamsungの14nmを利用する最初のアプリケーションはAppleのA9と見られており、ということは動作周波数のターゲットは現在のTSMCの28HPMなどと同じく2GHz前後、引っ張っても2.5GHz程度になると考えられているためだ。
そのため、14LPPなどで間に合えばいいが、もし間に合わないとすると(20SHPと同じように)14LPP+の様な超高速ロジック向けプロセスを開発して利用する可能性も無いとは言えないからだ。このあたりは、14LPE/LPPがどこまで引っ張れるかに掛かっている。
そんなわけで話を戻すと、このCarrizzo/Carrizzo-Lが2015年に投入されることになるが、Carrizzo-Lは事実上Beemaのupdateという程度であり、大きな変化があるのはExcavator CPU+Tonga GPUとなるCarrizzoの方である。こちらは2015年のCOMPUTEXのタイミングでデモは行われるようだが、出荷開始はもうちょっと後になりそうである。
ちなみにDDR4への対応はその次になるZenコアの世代で、こちらは早くて2016年になると思われる。製造プロセスは、GLOBALFOUNDRIESは間違いないが、20nmではなく14LPPないしその派生型と思われる。