消費電力(グラフ51~53)

最後に消費電力の比較である。グラフ51は、

・待機時の消費電力(電源オプションは「高パフォーマンス」で無負荷状態)
・Sandra 2012 SP5cでDhrystoneを実施
・Sandra 2012 SP5cでWhetstoneを実施
・3DMark11のExtreme ProfileでGame Test 1~4を実施
・MainConcept Reference 2.20で、H.264/AVC Proを使い2passエンコード(途中で中断)

をそれぞれのCPUで実施した場合の実効消費電力をワットメーターを使って測定したものである。まず待機時の消費電力であるが、

AMD FX-8150 96W
AMD FX-8350 97W
Core i5-3570K 90W
Core i5-3770K 89W

であり、このあたりはオンボードデバイスの差などもあるから、一概にAMDが高いとも低いとも言いがたい。この状態で一連の測定を行ったのがグラフ51であるが、ここから待機時の実効消費電力を引いた、つまり処理による実効消費電力の増分を示したのがグラフ52、さらにここから各テストにおける実効消費電力の平均値をまとめたのがグラフ53となる。ちなみにグラフ51・52でGame Test 1~4の開始タイミングが次第にずれてゆくのは、CPUによって次のテストを始めるまでの時間差にばらつきがあるためである。

ということでグラフ53を見てみると、

  • Dhrystone/Whetstone/H.264に関しては、FX-8150とFX-8350の消費電力に大きな差はなし。一方Core i系と比べるとFX系は概ね2倍。
  • Game Testに関しては概ねドングリの背比べだが、これは消費電力増分の大半はRadeon HD 7970に起因するもので、ここには差が無いから。ただそれでもCPUも多少は処理を行っているわけで、これに起因する消費電力差がトータルとしての消費電力差として示されている。

という事が読み取れる。ここから判ることは、

  1. FX-8350の、絶対的な消費電力そのものはFX-8150と大きく変わらない。ただ動作周波数と性能が上がっているにもかかわらず消費電力は変わらないということは、性能/消費電力比は改善していることが推察される。
  2. Core i5-3570KやCore i7-3770Kと比較した場合、FX-8350の消費電力は概ね倍といったところ。性能差を考えると、性能/消費電力比は2倍以上悪いと考えられる。

といったあたりだろう。

ちなみに消費電力に関しては、もう少し細かいデータを取得してあるが、これについての分析は後編をお待ちいただきたい。

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