永らく登場が待たれていたPiledriverコアのVisheraことAMD FX-8350がやっとその姿を現した。今回、評価機材を事前に試用してその性能を確認することができたので、まずは基本的なパフォーマンスをご紹介したいと思う。なお時間の関係で、内部構造の比較などは後編に回させていただく事をあらかじめお断りしておく。

ラインナップと価格・相対性能

さて、まずはスペックと価格について。Photo01が今回発表になった4製品の性能及び価格一覧である。まぁ性能面でのハンデが否めない部分があるとは言え、かなり思い切った価格付けとなっているのが判る。AMD FX-8350はIntelのCore i5-3570Kをターゲットとしており、これと同等以上の性能をより安い価格で提供する、というのが基本方針となっている。問題は性能が本当に同等以上か? ということで、それを確認するのがこの原稿の骨子でもあるのだが、まずはAMDの資料から性能に関する数値をいくつかご紹介したい。

Photo01: ちなみに今回発売されるのはAMD FX-8350のみで、FX-8320/6300/4300の各製品は後日の発売となる。

まずはCorel AfterShot Proの数字(Photo02)で、解像度が大きくなるほどFX-8350有利という傾向があるとしている。Photo03はx264 Encoderでの処理性能で、特にOpenCL利用時の性能改善が著しい。Photo04はCineBench R11.5のスコアである。

Photo02: 結果は写真1枚あたりの処理時間なので、短いほど高速となる。

Photo03: ちなみにOpenCLはRadeon HD 7850を併用した場合の数字である。

Photo04: 下位のFX-6300/4300では互角とか微妙に負けている結果だが、上位のFX-8300シリーズではそれなりのマージンを持った結果となっている。もっともこれは「何と比較するか」を恣意的に選んだ結果でもあるのだが。

Photo05は音声エンコードであるが、Bulldozerは基本的にMulti-Thread環境を前提にしたプロセッサであるため、Single ThreadのLAMEでは性能が低いが、Multi-ThreadのFPMP3では性能が改善することが示されている。

Photo05: Core i3の結果が混じっているのがちょっとわかり難いが、Core i5-3570Kとの差のみに注目すると、LAMEだとやや遅いのがFPMP3ではやや高速になる、というあたりである。要するにCore i5-3570Kとの性能差を考える場合、どこまでアプリケーションがMulti-Thread化されているか、がキーになりそうだ。

Photo06はゲームを中心に、前世代製品であるFX-8150と比べてどれだけ性能が改善されたかを示したものである。Photo07は、今度はCore i5-3570Kと比較したものであるが、Radeon HD 7870との組み合わせで、主要なゲームで1080p解像度で60fpsが確保できている事が示されている。

Photo06: 最低でも10%程度、最高で20%以上の性能改善があるというのがAMDの主張。

Photo07: 性能差、で言うと微妙にCore i5-3750Kに負けている気がするが、このプレゼンテーションではそれよりも「60fpsを維持できる」事が重要とされている。

ちなみにプラットフォームであるが、引き続きSocket AM3+が利用されており、チップセットも既存のAMD 9シリーズがそのままである(Photo08)。実際、既存のAMD 9シリーズのマザーボードはBIOS UpdateだけでVisheraが利用できるとされている。

Photo08: 一時期はUSB 3.0を搭載し、PCIe 3.0をサポートするAMD 10シリーズが噂されていたが、どうも完全に消えた模様。ちょっと残念である。

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