評価機材

座学はこのくらいにして、それでは実際のテスト機材を。今回はMobile向けということで、通常サイズのノートが届いた(Photo46~55)。キャプションで開発機も兼用と書いたのは、たとえばBIOS Setupのメイン画面に見たことも無いような表示があったり(Photo56)、あるいはDebug Menuが残っていたり(Photo57)する一方、CPUとかMemoryに関する設定は皆無で、おそらくシステムとかドライバを開発する開発者向けのものが評価機材として回ってきたのではないかと想像される。ちなみにSystem ConfigurationとしてAMDより公開されたのはこんな感じ(Photo58)である。

Photo46: サイズは340mm(幅)×242mm(奥行)×32mm(厚)、重量は2144g(いずれも実測値)。いわゆる通常のノートである。

Photo47: 画面サイズは13.3inchで1366×768pixel。英語キーボード搭載なのは正直筆者には助かった。

Photo48: 裏面のふたを開けるとメモリやSSDにアクセスできる。

Photo49: ふたを取るとこんな具合。どうも開発機も兼用するプロトタイプの模様。

Photo50: メモリにはMicronのDDR3-1600 CL11 2GB×2が実装されていた。

Photo51: 左側面は左からケンジントンロック用の穴、ACアダプタ端子、排気口、VGA出力、USB/eSATA兼用端子、HDMI、USB 3.0ポート×2。

Photo52: 右側面。左からカードリーダー、BD-ROMドライブ、USB(2.0)、Ethernet。

Photo53: フロントにはAudio/Mic端子と無線On/Offのメカニカルスイッチ、それと蓋を閉めた状態でも読み取れる電源LEDが。

Photo54: バッテリーは11.1V/4.84Ahで、なぜかデル(株)製。

Photo55: 立ち上げた直後の画面は当然ながらAMDロゴが。

Photo56: Core VersionとProject Versionが別々にあるとか、キーボードコントローラのバージョンが表示されているとか、色々謎。AGESAとはAMD Generic Encapsulated Software Architectureの略で、AMD64に対応したブートストラップのプロトコルである。

Photo57: これはChipsetメニューの中にある"SB GPP DEBUG Configuration"画面。おそらくFCHのGPIOポートあたりに外部の機器をつないでデバッグを行う前提で、それを有効にするか否かを設定しているものと思われる。

Photo58: SSDは後述するようにIntel SSD 520に換装した。

ちなみにシステム情報はこちら(Photo59)。Performance IndexはMemoryが足を引っ張って5.9だった(Photo60)。CPU-Zでの表示結果はPhoto61~65、CrystalCPUIDでの結果はこちら(Photo66)である。実を言うと、今回仕様した機材ではTurbo Coreが掛かりにくい(まるっきり掛からない訳ではなく、ちゃんと掛かってはいるが、すぐ定格に戻る)というもので、たとえば連続して3.2GHzで動作することは殆ど無いというちょっと厄介なものであり、この辺もあってCPU-Zでの動作周波数の表示がおかしくなっている。一方CrystalCPUIDではそもそもTurbo Coreを正しく判断できていないようであった。

Photo59: Windows 7では問題なく認識した。

Photo60: Processorは6.9でまぁまぁ。Graphicsも6.7で、そう悪い数字ではない。

Photo61: CPU-Zは最新のV1.60.1を利用。実はV1.60だと動作周波数が更に判らないことになる。

Photo62: キャッシュの構成はこんな感じ。キャッシュ容量やSet Associativity数はBulldozerと同一。

Photo63: チップセット情報はこんな感じ。GPUコアの情報はうまく表示されない。

Photo64: メモリ情報。正しくDDR3-1600で動作しているのが判る。

Photo65: GPUはRadeon HD 7660Gと正しく認識されているが、それだけ。

Photo66: こちらでは2.3GHzというA10-4660Mの定格動作周波数が取得できている。

ただ(これはテストが終わった後で発覚したのだが)これは今回試用した個体の問題の様で、別の機材では(熱的に許される限りにおいて)3.2GHzで連続動作するものもあったようだ。そんなわけで今回は絶対的な性能評価は難しいと判断した。当初はCore i5との比較なども考えたが、最終的にこれは断念し、BulldozerコアのAMD FX-4100、及びLlanoコアのAMD A8-3870Kとの性能比較をメインに行うことにした。といっても絶対値はそういう訳であまりあてにならないので、もっぱらアーキテクチャ的な性能分析をメインに行うことにした。

その他のテスト環境は表1に示す通りである。今回は性能をそろえる意味で、StorageにはIntelのSSD 520 128GBを利用したので、AMDのTrinityノートのSamsung SSDもこれに換装して利用している。

■表1
CPU(APU) AMD FX-4100 A8-3870K A10-4660M
M/B ASUSTeK CrossHair V Formula ASUSTeK F1A75V-Pro AMD Trinity Comal Form Factor Platform
BIOS Version 1301 Version 2201 FFW-A340
Driver AMD Chipset Driver V3.0.829.0 AMD Chipset Driver V5.12.0.13 AMD Chipset Driver V8.945 RC2
Memory Winchip PC3-12800 CL9 2GB×2 (CL11に設定) Micron PC3-12800 CL11 2GB×2
Video AMD Radeon HD 6850 + Catalyst 12.4 AMD Graphics Driver V8.863.0.0 AMD Chipset Driver V8.945 RC2
HDD Intel SSD 520 120GB
Driver AMD AHCI Driver V3.2.1540.92 AMD Chipset Driver V8.945 RC2
OS Windows 7 Ultimate 64bit+Service Pack 1 英語版
.NET CLR 4.0.30319

ベンチマーク

それではベンチマーク結果である。今回は3つの構成で5パターンのデータを取った。具体的には、

  • FX-4100: AMD FX-4100を定格動作。画面解像度は1920×1200pixel
  • FX-4100(2.3G): AMD FX-4100を動作周波数2.3GHz、Turbo Core無効として動作。画面解像度は1366×768pixel
  • A8-3870K: A8-3870Kを定格動作。画面解像度は1920×1200pixel
  • A8-3870K(2.3G): A8-3870Kを動作周波数2.3GHz、Turbo Core無効として動作。画面解像度は1366×768pixel
  • A10-4600M: A10-4600Mを定格動作。画面解像度は1366×768pixel

の5つである。この状態で、それぞれのテストを行っている。先に書いたとおりTrinityは常時Turbo Core Enabledなので若干性能は上がるわけだが、それに関する補正はそれぞれのテストの中で判断したいとおもう。