テスト機材
ということでお勉強コーナーはこのあたりにしておき、実際の製品を見てみたい。まずプロセッサであるが、(当たり前ながら)外観は既存のSandy Bridgeベースの製品と見分けが付かない(Photo31~33)。CPU-Zでの表示はこんな具合(Photo34,35)。キャッシュ構成もSandy Bridgeと同一だった(Photo36)。OSからも問題なく認識され(Photo37)、CPUのWindows Experience Indexは7.7だった(Photo38)。
Photo32: 左がCore i7-2700K、右がCore i7-3770KのES品。刻印以外は完全に一緒。 |
Photo33: さすがに裏面のコンデンサの配置はちょっと異なる。TDP 95WのCore i7-2700K(左側)に比べると、77Wの分コンデンサの数が減っているのが判る(右側)。 |
さてこれに組みあせたマザーボードであるが、IntelのDZ77GA-70Kである(Photo39)。既に秋葉原では発売開始されており、4月10日の時点での価格は\24,000~\25,000だそうである。
付属品は色々あり、加えて評価機には本来オプション扱いとなるIntel Centrino Advanced-N 6205 for desktop wireless adapterも付属してきた(Photo40,41)。
バックパネルは、映像出力がHDMI×1のみと割り切る一方で、いまだにPS/2ポートが一つ残っているという、ちょっと面白い構成(Photo42)。
Photo42: 縦型に配されているものがHDMI。他にUSB×8、LAB×2、eSATA×1、IEEE1394×1、Audio。PS/2といった具合。eSATAの右脇にあるのが、Back to BIOSスイッチ。 |
さて本体(Photo43)であるが、まずCPU向けの電源まわりは10Phase構成(Photo44)。CPUソケット周辺に(昨年3月にInternational Rectifier Corpが買収した)CHiL SemiconductorのCHL8325A(Photo45)を2つ配しており、これで合計10Phaseとなる。
Photo43: PCIe x16スロットが2本、PCIe x4スロットが1本、PCIe x1スロットが2本、PCIスロットが2本と割合に使いやすい構成。もっともPCIe x4スロットは電気的にはPCIe x1。 |
PCIeスロット周りもちょっと面白い(Photo46)。PCIe SwitchはPLXのPEX8606(Photo47)で、一方Signal SwitchはPericom SemiconductorのPI3PCIE3415(Photo48)である。ブロック図などから判断するに、CPUから出るPCIe x16レーンに繋がっているのはPericomのSignal Switchの方で、これは図1の様に構成されていると思われる。16レーンのうち8レーンはSlot #1に直結で、残り8レーンがSignal Switch経由で2つのSlotに振り分けられている形だ。ではPLXはどこに? というとこちらはPCHであるZ77のPCIeレーンにぶら下がる形になってPCI/PCIeの拡張コネクタやMarvellのeSATAコントローラ、IEEE1394aのコントローラが繋がっているようだ。
またマザーボード上に、Genesys LogicのGL3520M(Photo49)が2つほど搭載されているのも目を引く。Z77(Photo50)そのものは最大4ポートのUSB 3.0をサポートするが、DZ77GA-70Kはバックパネルに4ポート、フロントパネルにも4ポート分のUSB 3.0ポートを持つ関係で、USB 3.0 Hubが必要となった訳だ。
Photo49: 4ポートのUSB 3.0対応Hub。1ポートをUpstream、3ポートをDownstreamとすることで、2ポートのUSB 3.0ポートを6ポートに拡張できる計算。 |
Photo50: 65nmプロセスで製造されるZ77 PCH。結構ダイサイズが大きい。ちなみにこの上に被さるSkull型のヒートシンクは、さすがに目が光らなくなった。 |
その他のデバイスとしては、Intel 82579V(Photo51)とIntel 82574L(Photo52)がそれぞれ1つ、オンボードの拡張SATA 6.0Gポート×2とバックパネルのeSATAコネクタ用に、トータル2つのMarvell 88SE9172 SATA Controller(Photo53)、IEEE1394aのコントローラとしてTIのTSB43AB22A(Photo54)、先のPLXのSwitchの先に繋がるPCIe/PCI BridgeにiTEのIT8892E(Photo55)、Sound CodecとしてRealtekのALC898(Photo56)、Super I/Oに旧Winbond(現nuvoton)のW83677HG-i(Photo57)が搭載されている。またバックパネルの裏側にあたる場所には、Parade TechnologiesのPS8171(Photo58)が搭載されていた。
Photo53: ちなみにMarvellの常で、88SE9172そのものの製品情報は上のリンクに掲載されていない。 |
Photo54: そろそろIEEE1394aのニーズも減ってきた気がするのだが。ちなみに一時期はTI以外のコントローラを搭載した時期もあったが、再びTIに原点回帰(?)。 |
Photo55: なぜかメーカーサイトに製品へのリンクなし。 |
Photo56: こちらもずいぶん以前からメーカーサイトに製品へのリンクなし。 |
Photo57: こちらもメーカーサイトに製品へのリンクなし。ちなみにDZ77GA-70Kでは"Legacy I/O Controller"という扱いで、CIRとヘッダピンだけ残っているSerial Portがここに繋がっている。 |
Photo58: HDMIとDVIのLevel ShifterであるPS8171。 |
バックパネル脇には、謎の未実装パターンが残されている(Photo59)。単にチップとコネクタのみならず、外部オシレータや電源供給用のトランジスタの配線まで残っているあたり、これはひょっとするとUSB 3.0もしくはeSATAを更に別チップで追加提供する可能性があったのかもしれない(GbEだとここまでの電源回路は不要なので、USB 3.0やeSATAで外部電源供給を行う用途向けという方が考えやすい)。
ちなみにSATAコネクタはこんな具合に横出しで統一されていた(Photo60)。その脇には2桁の7segment LEDが動作状態を示すほか、マザーボード上端にはVR(Voltage Regulator) Status LED(Photo61)、下端にはBoard Status LED(Photo62)が並ぶなど、色々とLED表示が増えているのも特徴的だった。