KDDIからAndroid搭載スマートフォン「HTC EVO WiMAX ISW11HT」が登場した。WiMAX搭載や大画面など注目ポイントも多いが、今回はカメラ機能に注目したい。

EVO WiMAX ISW11HT

裏面照射型採用のカメラ

HTC EVO WiMAXのカメラは有効画素数800万画素CMOSセンサーで、AF機能と2つのLEDフラッシュを搭載している。特に日本語での情報はないが、搭載されているCMOSセンサーは裏面照射型センサーを採用しているようだ。通常、裏面照射型センサーは取り込める光の量が多くなって感度が良くなり、暗部での画質の向上が期待できる。ソニーのデジタルカメラで使われているExmor RセンサーやiPhone 4でも定評のある方式だ。

背面に搭載された8メガカメラ

デュアルLEDライトを搭載。輝度は高いが、近距離で使うと白トビしてしまう

もともとCMOSセンサーは、低消費電力・高速動作が特徴だが、コンパクトデジカメや携帯カメラ向けの小型サイズでは感度を上げ、ノイズを低減するような高画質化が難しかった。CMOSでは構造上、撮影時には順次画像を生成していくため、高速で動作している被写体などを撮影すると、画像が歪んで記録されてしまう歪み(動体歪み)などが発生するといったデメリットもあった。

そこで、画質問題を解決するために開発された裏面照射型CMOSセンサーだ。考え方自体は以前からあったもので、単純にいうとCMOSセンサーの背面から光を取り込む方式だ。通常のCMOSセンサーでは配線層がフォトダイオードに入る光を遮ってしまうが、背面から光を取り込むことで、そうした光を遮る物がなくなり、効率良く光が取り込まれ、感度が上がってノイズを低減できる、というのが基本的な考え方だ。

ソニーが裏面照射型CMOSセンサーExmor Rをリリースしたことで、コンパクトデジカメではCMOSが一般化してきた。裏面照射型CMOSセンサー自体はソニーだけのものではなく、携帯向けでもいくつかのメーカーが製造している。筆者が知る限りは、発売時期から考えると、モバイル端末で裏面照射型CMOSセンサーを初めて搭載したのはこのEVO WiMAX(の米国版)だろうと思う。

裏面照射型CMOSセンサーによって特に高感度時の画質向上が見込めるとはいえ、CMOSセンサー特有の動体歪みの問題は残っており、デジカメのようにメカシャッターを搭載していないEVO WiMAXでは、高速で動く被写体を撮影したり、カメラを動かしながら撮影すると被写体が歪んでしまう現象は残っている。ただ、一般的な撮影ではそれほど大きな問題にはならないはずだ。

多機能なカメラ機能

カメラを起動するには、カメラ起動ボタンがないので、カメラアプリをタッチ指摘どうする。起動すると自動的に画面中央でAFが動作し、ピント合わせが行われる。カメラを移動するとAFがそのたびに動作してピント合わせを行う。AFの動作音は大きめで、AFが駆動する音、ピントが合う音もいずれも音が鳴る。

カメラを起動したところ。縦持ちだと画面下部にシャッターボタン、ズームボタン、フラッシュボタンを配置。左下は撮影画像アイコンで、ここから以前に撮影した画像を閲覧できる

上部に矢印アイコンをタッチするかメニューボタンを押すと設定画面が表示される

AFはデフォルトでは中央1点だが、画面をタッチするとその場所にピント合わせを行うほか、顔検出AFも搭載する。AF動作や、シャッターボタンを押してから実際に撮影されるまでのレリーズタイムラグは、スマートフォンとしては一般的なスピードだろう。基本的にはサクサクと撮影できる。