フリーアドレス制の導入
以上のような2つの課題に対する解決策としてシュワルツコフが採用したのがフリーアドレス制である。
まずは、2つの事業部を仕切っていたパーティションを取り払い、両オフィスを統合。さらに、バックオフィス担当者やオペレータのものを除き、社員の固定席をなくした。オフィス後部には各人専用のキャビネットを設置。必要書類やノートPCはそこにしまっておき、業務を開始する際には、そこから荷物を取り出し、その日の席に移動する運用に変更した。
電話に関しても固定電話をなくし、PHSを導入。どこの席に移動しても、同じ番号で着信を受けられる環境を整えた。これにより、所属部署が変更になっても特別な対応を行う必要がなくなり、柔軟に組織を変更できる体制を作りあげた。
フリーアドレスの形骸化を防ぐために
こうして2つ目の課題に対しては、フリーアドレスと社内電話のPHS化で解消したわけだが、1つ目の部門間の壁を取り除くという点に関しては、「それだけでは不十分だった」と足立氏は振り返る。
というのも、固定席をなくしただけでは、自由に使える席を固定的に使われる可能性がある。各社員が毎日同じ席に座ってしまっては、結局のところ、顔見知り同士で集まることになり、社員間の交流が一向に進まない。
そこで、シュワルツコフでは、各社員の席がランダムに選ばれる仕組みを取り入れた。具体的には、コクヨの座席アシストシステム「OfficeDARTS」を導入。同システムに社員の席を抽選させるようにし、異なる事業部の社員が隣り合わせに座る機会を増やした。これにより自然と交流が促され、「少なくともオフィス内の人間の顔を知らないという状況はなくなった」(足立氏)という。
以上が、シュワルツコフの改革における大枠だが、ここまではフリーアドレスと専用システムを導入しただけで、一般に紹介されているフリーアドレスの話とそれほど変わりない。興味深いのは、同社がフリーアドレスの導入およびオフィスレイアウトの変更を行うにあたり、細かい工夫を数多く施し、それが実際に効果的に機能している点だ。
以下、順に紹介していこう。