わいせつ情報による被害の定義は困難

ネットわいせつ情報による被害は、これまでも長く議論されてきた。例えば、性犯罪の多くがネットわいせつ情報の拡大に起因するものだとか、青少年がわいせつ情報の影響を受け、恋愛や性行為の早期化がもたらされている、あるいは多くのわいせつサイトがその経営上、ネットワーク利用者の権益を侵害している、などなどである。

しかし、「わいせつサイトによる被害」を明確に規定することはそう簡単なことではない。たしかに、青少年たちはわいせつサイトで見るべきでないものを見てしまうが、社会の多数を占める既婚者にとってネットワークわいせつは花やグルメ、車と同じ類で、日常生活にありふれたものの一つに過ぎない。彼らがこれらのサイトを閲覧したとしても、それが原因で常軌を逸することや罪を犯すという確証はない。

わいせつ情報は、一定条件下では社会にとって危害がないだけではなく、範囲を限定すれば人々に歓迎されるものだ。したがって、わいせつ情報は、一定範囲内では存在してもいいものだ。例えば、わいせつサイトへのアクセスを厳格に制限し、未成年者などの閲覧を許さないかわりに、成人には自由な閲覧とダウンロードを許すといった具合にだ。

実際、一部のわいせつサイトの経営者もそれなりの措置を取り始めている。例えば、サイトのホームでアクセス者の年齢や婚姻状況を確認し、条件にあっている者だけが閲覧できるようにしている。しかし、この方法はそれほど効果がないようだ。なぜなら多くの未成年者は本当の年齢さえ隠せば、簡単にサイトのコンテンツを閲覧できるからである。

現実の状況から見れば、わいせつサイトに対しては全面的に禁止するべきでも、全面的に開放するべきでもない。サイトのアクセス者を適当な範囲内に制限するべきだ。分別のある成人の視野内に留め置くべきなのである。