検索大手のグーグルにとって、今年1年はどんな年だったのか。世界的に見ればGoogleは検索で最大手の位置づけだが、国内ではユーザー数だとヤフー(Yahoo! JAPAN)がトップを維持。グーグルはそれに対して一般ユーザーへの訴求を図り、ユーザー数の拡大を狙った年だった。

グーグルの2008年、機能実装の歩み

3月には、これまでは検索窓を中心としたシンプルなデザインだったトップページを変更し、同社が提供するほかのサービスのアイコンを並べる形にした。これによって検索以外のサービスへのナビゲーションとしてユーザーへの認知度向上を図った。

変更されたグーグルのトップページ。下部にあるアイコンが追加された

アーティストキャンペーン。漫画家の故・手塚治虫さんのキャラクターを使ったテーマなどが利用できるようになった

ユーザーごとにカスタマイズしたページが利用できる「iGoogle」では、背景デザインに有名アーティストなどを起用。カスタマイズできる「iGoogleアーティストキャンペーンを4月に実施した(関連記事)。新たなユーザーがグーグルを利用するきっかけ作りを行った。

賛否両論を巻き起こしたサービスでは、「Googleストリートビュー」を8月に国内でも開始し、道路から見た街の様子を実際の画像で見られるようにした(関連記事)。これによって地図サービスの「Googleマップ」を知らないユーザーにも使ってもらえるようになったという。

良くも悪くも大きな話題となったストリートビュー

同じく8月には、検索窓に語句を入力する度にリアルタイムで検索候補を提示する「Googleサジェスト」設定をデフォルトで有効化。入力された語句に対して、これまでもっとも検索されたワードを候補としてあげるという機能で、少ないタイピングで素早く検索にたどり着けるようにした。

また、「渋谷 映画」「東京 天気」と入力することで、該当する場所で見られる映画やその場の天気を検索できる、といった検索の使い方を紹介するなどのマーケティング活動も実施した。

検索候補を提示するGoogleサジェスト

グーグルを使ってどんなことができるかを紹介したマーケティング活動

9月には独自ブラウザ「Google Chrome」もリリース(関連記事)。「安全・快適・速い」を第一に開発したブラウザということで、シンプルなインタフェースで動作が速く、特にGmailやGoogleカレンダーといったAJAXを活用したサイトの閲覧性を高めることを狙った。Chromeのリリースには「日本のオフィスも大きく関わった 」(同社)という。

特に高速な動作を意識して開発されたChrome。GmailやGoogleマップなどが高速動作することで、ユーザー数の拡大を狙ったものだ

Picasaの新機能。ウェブとの同期機能などの新機能に加え、単体で動作する高速なビューアーも同梱した

12月には画像管理ソフト「Picasa 3」の日本語版もリリース。画像検索の高速化などの速度向上に加え、社内では100万枚の写真で実験したというスケーラビリティの向上を図った。このほか、動画の簡易編集機能、コラージュ作成機能、静止画からスライドショー動画の作成機能などを追加した。

Picasa上で管理しているフォルダをWebの画像共有サイト「Picasaウェブアルバム」と同期する機能も追加。ウェブアルバムでは、人の顔を認識してかんたんに名前にタグを付ける「名前タグ」機能も加えた。

名前タグによって特定の人物を素早く検索できる。同機能はウェブアルバムでしか利用できず、Picasa上では利用できない

日本独自機能として、サイト上にQRコードを表示できるようにした。携帯からかんたんにアクセスできるようになる

顔認識では、写真内に含まれる人の顔を検出し、特徴を分析して同じ人の顔と思われるものをグループ化。それに対してユーザーが名前を付けることで、特定の人が写った写真だけをピックアップするといったことが素早く行えるようになった。手動で顔を認識させたり、別グループとして認識された顔を同じ顔として認識させるなどの走査は学習され、「使えば使うほど認識精度が向上する」(同社)という。