英Symbianは10月21日、英ロンドンでパートナー・開発者向けイベント「Smartphone Show 2008」を開催した。創業10周年となるSymbianは今年6月、フィンランドNokiaが自社を買収し、Symbian Foundationという非営利組織となることを発表した。会期中、Symbianは、Symbian Foundationのエグゼクティブディレクターの任命、12社の参加、開発者向けツールなどの発表を行った。

Symbian Foundationを率いることになったのはLee Williams氏、現在NokiaでS60を率いる人物だ。新たな参加企業は、英ARM、Visa、中国Huawei、富士ソフトなど12社。これにより、Symbian Foundationの加盟企業は52社となる。

会期中、Symbian Foundationのエグゼクティブディレクターに任命されたLee Williams氏

21日午前中の基調講演では、Symbian、Nokia、英Sony Ericsson、米Texas Instruments(TI)がパネルディスカッションにて、Symbian Foundationの方向性を示した。

パネルには、NokiaのS60研究開発担当上級副社長のDavid Rivas氏、Sony Ericssonソフトウェアトップ兼副社長のPatrick Olsson氏、Texas Instruments(TI)のワイヤレスターミナル事業部ソフトウェア製品マネージャのKevin Gunn氏の3名が参加、Symbian研究部門担当上級副社長のDavid Wood氏がモデレータを務めた。

パネルディスカッションに参加したメンバー。右から、Symbian研究部門担当上級副社長のDavid Wood氏、Sony Ericssonソフトウェアトップ兼副社長のPatrick Olsson氏、NokiaのS60研究開発担当上級副社長のDavid Rivas氏、Texas Instruments(TI)のワイヤレスターミナル事業部ソフトウェア製品マネージャのKevin Gunn氏

昨年は米Appleの「iPhone」が登場、今年は米Googleの「Android」が登場と、スマートフォン市場は激動期を迎えている。カナダResearch In Motion(RIM)も大きな攻勢に出ており、Linuxベースの非営利団体LiMO Foundationも活発だ。もちろん、米Microsoftもある。そんな中、Symbianは「Symbian OS」のソースコードをオープンソースにしていく。

Symbian Foundationの勝算について、Sony EricssonのOlsson氏は、「すでにプラットフォームがあるということは大きい。これを活用して、新しいビジネスモデルを開発できる」と述べる。NokiaのRivas氏は、「ソフトウェアを巡るゲームは変わった」と言う。「ソフトウェアを売る企業もあるが、ソフトウェアを無料で提供し、他の価値で収益を得る企業もある。可能な選択肢だ」とオープンソースモデルを擁護する。

Symbian Foundationでは、Symbian OSのソースコード公開だけでなく、同OS向けのUIであるS60、UIQ、MOAPが統合されることも発表されている。「統合UIはイノベーションの土台となる」とUIQに出資するSony EricssonのOlsson氏。S60を持つNokiaのRivas氏も同意する。そして、S60の次期版で予定されているタッチ、センサーなどの機能統合に触れ、これがすべて利用できるとした(Symbian OSのUI統合は、S60を土台とすることになっている)。「一に開発者、二に開発者、三に開発者」とRivas氏。UIの統合により、スケールがさらに強化される。開発は容易になり、最終的にはエンドユーザーがメリットを享受するという。

UI統合により、選択肢が限定されるのではないかという見方に対し、Sony EricssonのOlsson氏は、「UIは柔軟性があり、(搭載端末が)すべて同じに見えるわけではないカスタマイズにより独自のユーザーエクスペリエンスを提供する余地はあり、ベンダは差別化を図れる」と述べる。