米Salesforce.comと米Googleは4月14日(現地時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコ市内のホテルで記者会見を開き、クラウド・コンピューティング時代における戦略提携と新サービスを発表した。"SaaS"の名称で呼ばれるオンライン・アプリケーションの分野で強みを持つ両社が、従来の提携内容をさらに強化し、Salesforceの持つビジネス向けアプリケーション/インフラとGoogleのアプリケーション・サービスである「Google Apps」を組み合わせた複合サービス「Salesforce for Google Apps」を提供する。

米Salesforce.com会長兼CEOのMarc Benioff氏(左)と米Google会長兼CEOのEric Schmidt氏(右)

相互補完による包括的なSaaSソリューションを実現

これまで両社はSalesforceアプリケーションからのAdSenseの利用やGoogle Maps APIの活用などで提携してきたが、今回の発表ではさらに踏み込み、両社の主力とするアプリケーション・サービス同士をより密接に連携させて、1つのシステムとして活用できる仕組みの提供を目指す。記者会見の場には米Salesforce.com会長兼CEOのMarc Benioff氏と米Google会長兼CEOのEric Schmidt氏が登場し、「クラウド・コンピューティングの世界の業界リーダー2社が集まり、Webの次の世代を担うトレンドを作り出す」と今回の提携における意義を強調した。

2004年の同時期にIPOを果たし、SaaSという共通分野で先陣を切る両社だが、有料サブスクリプションモデルでエンタープライズ分野を得意とするSalesforce.comに対し、Googleは一般ユーザーを中心に検索やメール、文書作成ツールなどのサービスを広告収入ベースで無償提供している。このようにビジネス的に直接競合していないからこそ、両社の提携は強みとなる。互いの弱点を補完し、長所を伸ばすことで、包括的なソリューションを提供するMicrosoftらライバル企業に迫ることが可能になるのだ。

Salesforce.comとGoogle協業の歩み。これまでSalesforce側がGoogle APIを活用したりAdSenseを利用するケースはあったものの、具体的に両社の製品をミックスした例は初となる

新サービス「Salesforce for Google Apps」はGoogle Appsに含まれるアプリケーションとSalesforceのアプリケーションの連携を可能にする

世界15言語向けのサービスを発表同日より提供開始

2種類が用意される「Salesforce for Google Apps」のサービス。1つめは全Salesforceユーザーに提供される無料バージョンで、もう1つのSupportedバージョンは単位ユーザーあたり月額10ドルでサポートを含む複数の拡張機能とともに今夏より提供開始される