国際電気通信連合(ITU)は19日(スイス時間)、高速無線通信技術「WiMAX」を第3世代(3G)携帯電話の国際標準「IMT-2000」とする勧告を採択した。WiMAXを推進する業界団体WiMAX Forumでは、「都市部および都市以外の地区での市場ニーズを満たすモバイルインターネットを実現する実装が世界的に拡大する」と歓迎の意を表している。

WiMAXは、米国電気電子学会(IEEE)が審議/策定する無線通信規格で、「IEEE 802.16」といわれる。固定系無線通信技術で、伝送範囲は約50kmで最大伝送速度は70Mbps。同じく固定網から発展し、IEEE規格であるWi-Fi(802.11)が屋内での利用を想定した無線技術であるのに対し、人口密度の低い地域など、電話回線などの固定技術が行き届かない地域に迅速に低コストでブロードバンドインターネットをもたらす「W-MAN(Wireless Metropolitan Area Network)」技術として位置づけられている。米Intelなどが強力にプッシュしている。

今回、ITUの無線通信総会(ITU-R)は、WiMAXをIMT-2000の1つとして正式に勧告した。勧告名は「OFDMA TDD WMAN」。IMT-2000標準としてはすでに、「W-CDMA」「CDMA2000」「TD-SCDMA」などがあり、6つ目の地上波無線インタフェースとなる。先の5つは3G無線標準として数年前に採用されており、新しい無線インタフェースがIMT-2000に加わるのは初めてという。IMT-2000規格となることで、WiMAXは携帯電話方式として普及しているW-CDMA、CDMA2000らと肩を並べることになる。

ITUでは、WiMAXを「ブロードバンド無線サービスを低コストで配信し、VoIPなど複数のブロードバンドインターネットサービスを提供する技術」としている。WiMAX Forum会長のRon Resnick氏は、「27億人に配信する可能性を持つ技術」とし、IMT-2000採択により、「さらに世界の多くの人に広がるだろう」とコメントしている。

WiMAXの動向としては、日本では総務省がWiMAX向けに2.5GHzの周波数帯域を割り当てることになっている。免許取得に向け、NTTドコモ、ソフトバンクなどが名乗りを挙げており、注目されている。韓国では、派生技術のWiBro技術の実装が進んでおり、米国ではSprint Nextelが今年中に実験運用を開始する計画を発表している。