10日に行われた、マイクロソフトの社内向けイベント「diversity forum 2007 Great Place to Work ~働き方の多様性~」で、ワークライフ・コンサルタントのパク・ジョアン・スクッチャ氏が「ワークライフバランス―持続可能な働き方と個の付加価値向上に向けて」と題した、基調講演を行った。

講演を行うワークライフ・コンサルタントのパク・ジョアン・スクッチャ氏

パク氏によると、"ワークライフバランス"という言葉は20年以上前には海外でも存在しなかった新しい言葉で、現在でも一律の定義がないという。これに対して、まずはじめに"仕事と私生活の共存"というパク氏自身の定義を紹介し、現在なぜワークライフバランスが必要とされているかについて説明した。

ワークライフバランスの定義

戦後、80年代までは長時間労働が成功をもたらすという産業構造で高度経済成長を支えてきた日本。しかしながら、90年代に入り、IT革命が起こり、効率という側面で働き方に変化が起こった。これに加えて、日本は少子高齢化という新たな問題にも直面しており、年金制度の破綻という局面が、昨今現実味を帯び始めている。さらにグローバル化により、人材のローカライズが進み、国内の労働市場は次第に厳しい状況になっていくことが予想される。

このような変化に対し、パク氏は「70歳ぐらいまで持続可能な働き方をするべき」だとし、これまでの短距離走的働き方から長距離走的な働き方への転換を推奨し、その解決として自ら求められるキャリア像への自己投資が必要だと語った。

日本人が働き者であるという定説は今や国際的に知られる事情だが、労働時間の長さが必ずしも成果に直結しているとは限らない。その具体例としてパク氏が取り上げた"働き過ぎ度"と"国際競争力"の先進国における2007年のランキングで、日本は"働き過ぎ度"では圧倒的に1位だが、"国際競争力"では55ヶ国中24位だ。一方で、"働き過ぎ度"が最下位のオランダは"国際競争力"では8位にランクしており、パク氏は「労働時間とアウトプットの関連性は分からない」と語った。