米『Computerworld』誌は24日(現地時間)、「死んだ(または死につつある)コンピュータスキル」を10種挙げるという記事を公開した。サブタイトルには「あなたのスキルをアップデートすべきでは?」とあり、どちらかというと前向きな提言というニュアンスを込めたいのかもしれないが、必ずしもそう感じられる文章ではない点は少々残念なところだ。

以下、そのリストと説明文を紹介しておこう。

1. COBOL

Y2Kは、腕をふるう機会が減りつつあったCOBOLプログラマにとって「2度目のゴールドラッシュ」となった。しかし、それから7年近く経過した現在、この忘れられつつある言語の救世主の影もまったく見えない。同時に、コンピュータサイエンス関連の大学のカリキュラムでCOBOLが教えられることもほとんどなくなっているが、「メンテナンスを続けなくてはいけないCOBOLアプリケーションを運用している組織はまだ何千も存在している」という声もある。

2. リレーショナル以外のデータベース(Nonrelational DBMS)

1980年代には、DBMS(データベースマネージメントシステム)には二大潮流があった。IBMのIMSやSAS InstituteのSysmtes 2000などのような階層型システムと、CAのIDMSやOracleのDBMS、かつてのVAXのDBMSのようなネットワーク型DBMSだ。しかし、現在ではこのいずれもIBM DB2、Oracle、Microsoft SQL ServerといったSQLデータベース/リレーショナルDBMS(RDBMS)に置き換えられており、RDBMS以外のデータベースを見かけることはまずなくなっている。

3. IP以外のネットワーク(Non-IP networks)

TCP/IPはネットワーク界を席巻しており、その結果、たとえばIBMのSNA(Systems Network Architecture)などの技術スキルが求められることはほとんどなくなった。現在では「TCP/IP以外のネットワークは市場からほぼ駆逐された」という声もある。

銀行や保険業界などでは、現在でもSNAネットワークに多額の投資を行っているにもかかわらず、こうした技術の教育機会はほぼ失われている。

4. cc:Mail

Lotusが開発したメールシステムで、ストア&フォワード型のLANベースの電子メールシステム。1980年代には約2,000万ユーザが利用していたものだ。しかし、その後電子メールはLotus NotesやMicrosoft Exchangeといった、より複雑なシステムに統合されていき、cc:Mailユーザーは減少の一途を辿り、2000年には市場から消え去った。

5. ColdFusion

一時は広く利用されたWebプログラミング言語で、1990年代半ばにAllaireからリリースされたもの。現在でいうアプリケーションサーバ製品と、その専用開発言語という位置づけだった。開発元のAllaireはMacromediaに買収され、さらにMacromediaはAdobe Systemsに買収された。現在では、かつてColdFusionがカバーしていた領域はMicrosoftのActive Server Pagesや.Net、JavaやRuby on Rails、Python、PHPといったオープンソース言語などに置き換わっている。「ColdFusionは堅牢でスケーラブルなプラットフォームで、競合製品よりも優れていた」という声も根強く残るが、現在ではColdFusionプログラマに割増料金を払ってくれる雇い主を見つけることは難しいだろう。

6. Cプログラミング

Web時代に入り、C言語が使われる機会も減ってきている。「C++やC#は現在でも現役だが、ベーシックなC言語しか知らないプログラマを探してみると、見つかるのはたぶん失業者か、他の新しい技術スキルを勉強中の人だけということになるだろう」との声がある。

7. PowerBuilder

1990年代には、Powersoftが開発したPowerBuilderは「ホットな」開発環境だったが、1994年にSybaseに買収された。Sybase自体も、一時はOracleの強力な競合だったのだが。

現在では、PowerBuilderの開発者が必要とされる機会はまず見あたらず、COBOLプログラマと似たり寄ったりの待遇だという声がある。とはいえ、製品開発は継続されており、年内にPowerBuilder 11がリリースされると目されている。このバージョンでは、.NETコードの生成も可能になるはずだ。

8. 認定NetWare技術者(Certified NetWare Engineers)

1990年台前半には、NovellがPCサーバ市場で90%のシェアを誇っており、認定NetWare技術者の全盛期だった。しかし現在では他の技術を学んでいないCNE(Certified NetWare Engineer)"専業"のエンジニアを見つけるのは困難だろう。「まるで一夜にしてすべてが変わってしまったかのようだ。誰もがみなNovellを使っていたのに、ほんの2年ほどでみんなNTに切り替えてしまった」という。Novellは現在もNetWare 6.5のサポートを提供しており、少なくとも2015年まではサポートを継続するとしている。しかし、NetWareに関する認証プログラムのいくつかは取りやめになっており、NetWare 6 CNEも廃止になる予定だ。「CNEに割り増しを払う企業はまだあるが、その価値は失われつつある」という。

9. PCネットワーク管理者

Windowsサーバのコンソリデーションが進行しており、PCネットワーク管理者の需要もなくなっていくと目されている。

10. OS/2

もともとMicrosoftとIBMの共同開発として1987年に鳴り物入りでリリースされたOS/2だが、MSとIBMの蜜月はすぐに終わりを告げた。噂レベルではずっと予告されていたことだが、ついにIBMがOS/2の販売を停止したのは2005年だった。OS/2は現在でも熱心なユーザー・コミュニティを擁しており、eComStationという名称でSerenity Systems Internationalが販売を継続している。