ライブドアが新たな経営体制への移行を発表した。持株会社制を導入し、傘下各社の統括と事業運営を分割、効率化を徹底させ、グループ全体の価値を向上させることが目的だ。かつて同社は「放送とインターネットを融合させた事業」を標榜、フジテレビとの提携を図るとともに、金融、電子商取引など、積極的に企業の買収・合併を進めることにより、「メディア、IT、金融のコングロマリット(複合企業体)を目指す」(当時の堀江貴文社長兼CEO)方針だったが、大きな波紋を呼んだ「ライブドア事件」発生から1年、同社を巡る環境は激変した。

旧ライブドアは、2004年6月に大阪近鉄バファローズ(現 東北楽天ゴールデンイーグルス)買収の意向を表明、プロ野球への参入を図り、2005年1月には突然、フジテレビの筆頭株主であったニッポン放送株35%を取得、フジテレビへの影響力行使をねらった。

ニッポン放送株を巡っての、ライブドアとフジテレビとの抗争は、ライブドアがニッポン放送株を買い増し、議決権ベースでほぼ50%を手に入れ、フジテレビは瀬戸際まで追い込まれたが、ニッポン放送は保有しているフジテレビ株をソフトバンク・インベストメント(以下SBI)に貸し出すという奇策により、両者の争いは和解へと向かった。フジテレビ株のないニッポン放送の経営権を得ても、ライブドアにとっては意味がないからだ。

2004年6月、当時の近鉄バファローズ買収の意向表明

2005年2月、ニッポン放送株を電撃的に取得

堀江社長兼CEO(当時)は、プロ野球参入と放送業界への進出に頓挫した後も、同年夏の総選挙に、郵政民営化反対で自由民主党を離れた候補への「刺客」として広島6区から立候補するなど、日本に旋風を巻き起こし続けた。だが、2006年1月、当時の堀江社長兼CEOら4人の幹部が証券取引法違反容疑で逮捕され、さらに2月にも取締役が1人逮捕された。彼らは起訴され、この3月、東京地裁は堀江被告に対し、懲役2年6カ月の実刑判決を下した。