Windows OSの起動/シャットダウン時間を測定

Windows VistaとWindows 7。同一のコンピュータにインストールすると、体感的にWindows 7の方が速く感じることが多い。正しく述べれば、ストレスを感じる部分が圧倒的に少ないのだ。多くの読者がご存じかと思うが、Windows 7はWindows 9xからWindows 2000へバージョンアップしたように、ドラスティックな内部変更を行なったわけではない。Windows 2000からWindows XPへバージョンアップしたように、いくつかの外観と機能、内部的な仕様をマイナーアップデートしたOSである。そのため、各所に対して細やかに、そしてユーザビリティを向上させる改良が加えられた。本節では、Windows 7に加わった改良点を見ていこう。

まず目に見えて変化しているのが起動時やシャットダウン時の高速化。下記のグラフは、AMD Athlon 64 X2 4400+/ASUS A8N-SLI Premium/メモリ4GB/HDD WD3200KSという構成のコンピュータで、各Windows OSの起動および終了までの時間を3回測定し、平均値を計ったものだ。なお、各OSは32ビット版を使用し、最新のサービスパック(Windows XPはSP3、Windows VistaはSP2)は適用済み。また、OSはインストール後、すべてのデバイスドライバを導入した後の状態で測定している。なお、今回の主旨はWindows VistaとWindows 7の比較であるが、参考として同コンピュータにインストールしたWindows XPの数値も掲載した。

まず起動時間は、BIOSの起動デバイス選択画面を呼び出し、そこからスタートアップサウンドが鳴るまでの時間を測定したが、ご覧のとおりWindows XPよりWindows Vista、Windows VistaよりWindows 7が速く起動するという結果となった。これは、Windows 7の起動時にスタートするサービスを最小限に抑えた仕様変更の効果が現われているのだろう。

一方、終了時間はシャットダウンを実行し、コンピュータの電源が完全に切れるまでの時間を測定。こちらはWindows VistaよりもWindows XPが速く、Windows XPよりもWindows 7が若干速いという結果となった。通常、Windows OSのシャットダウン時には、メモリ上に展開されているユーザーレジストリをファイルに書き出す処理が行なわれるが、ご存じのとおりWindows XPは、レジストリの肥大化によってパフォーマンスダウンが顕著に現われるOSである。今回はいずれのWindows OSもインストール直後ということもあって、予想以上の数値を叩き出したのかも知れない。Windows VistaとWindows 7の相違点として、ディスクI/Oやレジストリアクセスの効率化がある。これらの改良によりシャットダウン時間が短くなり、Windows VistaとWindows 7の差は大きく生じたのだろう(図267)。

図267: 各Windows OSの起動/シャットダウン時間

今度はスタンバイへの移行、およびスタンバイからの復帰時間を測定してみた。こちらはスタンバイを実行し、コンピュータが移行するまでの時間と、スタンバイを解除するデバイスを操作し、ログオン画面が表示されるまでの時間までを測定。Windows VistaおよびWindows 7のスタンバイ復帰時間は微々たるもので、誤差の範囲とも言えるのが、スタンバイへ移行するまでの時間は約2倍もの開きが生じている。これだけでもWindows VistaとWindows 7のパフォーマンス差を理解できるだろう(図268)。

図268: 各Windows OSのスタンバイ移行/復帰時間

最後にサービスの数を数えてみた。Windows Vistaは67アイテム。Windows 7は60アイテムだった。お使いのコンピュータによって異なるため、全体数は重要ではない。ポイントは自動起動するサービスの差だ。Windows 7で自動起動になっているのは44アイテム(うち7アイテムは遅延開始)。Windows Vistaの場合は56+7で67アイテム。一方、手動起動ながらも、他のサービスから呼び出される形で起動するサービスは、Windows 7が16アイテム、Windows Vistaが4アイテムと、大きな差が生じている。このように起動するサービス数やタイミングを調整し、ユーザーが必要とするときに初めてサービスを起動することで、全体的なパフォーマンス向上につなげているのだろう(図279)。

稼働中のサービス数 自動 自動(遅延開始) 手動(開始) 手動 無効
Windows 7 60 37 7 16 79 4
Windows Vista 67 56 7 4 61 4
図269: Windows VistaおよびWindows 7のサービス数