コンピュータを構成するパーツのなかで、見落としがちなのが物理メモリのエラーである。外観的に判断できない物理メモリのエラーはときとしてOS本体を不安定にし、原因不明のエラーやアプリケーションが突然落ちてしまうなど、様々な問題を引き起こす。Windows OSがBSoDを引き起こす一因としても有名だ。そのため、Windows Vista以降、OS起動時にメモリのエラーチェックを行なう「Windowsメモリ診断ツール」を起動できるようになった。

起動方法は、Windows 7のBOOTMGRから選択する方法と、セットアップDVD-ROMから直接起動する方法の2種類。つまり、Windows 7導入前でも自作PCなどの検証が可能だ(図674~678)。

図674: BIOS起動直前に[F4]キーを押してBOOTMGRが表示されたら、[Tab]キーを押して<Windowsメモリ診断ツール>を選択し、[Enter]キーを押せば、「Windowsメモリ診断ツール」が起動する

図675: もう1つの起動方法も紹介しよう。コンピュータをセットアップDVD-ROMから起動し、この画面で<コンピュータを修復する>をクリック

図676: 「システム回復オプション」ダイアログが起動するので、そのまま<次へ>ボタンをクリックする

図677: 「システム回復オプション」ダイアログの内容が変化したら、<Windowsメモリ診断>をクリック

図678: 実行タイミングをうながされるので、<今すぐ再起動して問題の有無を確認する>をクリック。これで「Windowsメモリ診断ツール」が起動する

メモリチェックは自動的に行なわれ、問題がなければそのままコンピュータが再起動。Windows 7が導入されている場合は、起動処理が行なわれるというシンプルな構成だ。メモリチェックのパス(回数)は2回に設定されている。これは、1回だとエラーを見逃す可能性があるからだ。例えばコンピュータの排熱処理が追いつかず、物理メモリが高温になると発生するエラーや、発生頻度が著しく低いエラーを検出するには、何度もメモリチェックを繰り返すのがベストである。

そのため、メモリチェック中に[F1]キーを押すと、Windowsメモリ診断ツールのオプション画面に切り替わるので、[Tab]キーでカーソルを合わせ、パスカウントを変更してから[F10]キーを押してチェックを続行させればよい。また、テストミックスと呼ばれるチェックパターンは基本/標準/拡張の3種類。上位になればなるほど、より多くのエラーチェックが行なわれるので、必要に応じて選択して欲しい。もし、エラーが発見された場合は、物理メモリを交換し、再度Windowsメモリ診断ツールで確認してみよう。

また、実行結果の内容はイベントビューアの「MemoryDiagnostic-Results」に記録されると同時に、バルーンによるメッセージが表示される(図679~684)。

図679: メモリチェックは自動的に行なわれる。初期状態では標準テストが2回実行される

図680: エラーチェック実行時に[F1]キーを押すと、エラーチェックパターンや回数などを変更できる

項目 内容
基本 MATS+、WNVC、SCHCKR(キャッシュ有効)
標準 MATS+、WNVC、SCHCKR(キャッシュ有効)、LRAND、Stride6(キャッシュ有効)、WMATS+、WINVC
拡張 MATS+(キャッシュ無効)、WNVC、SCHCKR(キャッシュ有効)、LRAND、Stride6(キャッシュ無効)、WMATS+、WINVC、Stride48、WSCHCKR、WStride-6、CHCKR4、WCHCKR3、ERAND、CHCKR8
図681: Windowsメモリ診断ツールのテスト内容

図682: <スタート>メニューの<コンピュータ>を右クリックし、メニューから<管理>をクリックする

図683: ナビゲーションウィンドウで<システムツール>→<イベントビューアー>→<アプリケーションとサービス ログ>→<Microsoft>→<Windows>→<MemoryDiagnostic-Results>とたどると、診断結果を確認できる

図684: エラーが検出されたなかった場合、バルーンによるメッセージも表示される