最後に「パフォーマンスの情報とツール」を紹介しよう。そもそもWindows OSを導入できるコンピュータは、特定の規格に沿って設計されるプロセッサや、マザーボードなどで構成されたコンピュータに限定されている。コンピュータの仕組みや構成に慣れている我々にとっては当たり前とも言える仕様だが、各ハードウェアの能力や特徴は画一化されていないため、コンピュータを使用する現場では、購入もしくは組み込んだデバイスによって機能差が生じ、使い勝手の差につながることもあるだろう。

例えば、性能が異なるGPUを搭載している場合、Windows OS側から見れば、型番やグラフィックスメモリの容量の違いなど相違点を確認できるが、ユーザー側から見ると、GPUの機能差に対する知識を備えていなければならない。筆者が以前、友人に相談された質問の1つに「コンピュータのスペックがよくわからない」というものがあった。さすがに最近のコンピュータ雑誌やWeb媒体では、「○○GHzだから凄い」といった画一的な説明は少なくなっているものの、いまだスペックに左右される場面が多いのは事実である。

そこで用意されたのが、「Windowsエクスペリエンスインデックス」。各ハードウェアのパフォーマンスを数値に置き換えることでわかりやすくし、コンピュータのパフォーマンスを均一的にわかりやすくしたものだ。CPUや搭載メモリ、グラフィックスなどのパフォーマンスを数値(サブスコアポイント)として提示することで、ユーザーは「サブスコアが○だから、△△というアプリケーションは動作する」といった判断が可能になる。

スコア検出には、WinSPR(Windows System Performance Rating)を使用。コンピュータに搭載されたCPU、メモリ、GPU、GPU用メモリ、HDDのパフォーマンスを検出し、スコアとして提供している。また内部的には、Windowsシステム評価ツール(WinSAT.EXE)を使用し、コンピュータの性能を、1から7.9段階(Windows Vistaは5.9段階)で表わしている。Windows VistaとWindows 7におけるWindowsシステム評価ツールの差異は、数値だけでなく評価オプションもいくつか増えているが、ユーザーが得るスコアに対する影響していない。また、集計データを「%WINDIR%\performance\winsat\datastore」フォルダにXML形式で格納する仕様もWindows Vistaと変わっていない(図685~686)。

図685: Windows 7の「パフォーマンスの情報とツール」。最大スコアが「7.9」に拡大されている

図686: 「%WINDIR%\performance\winsat\datastore」フォルダには、集計データがXMLファイルで格納されている

なお、ナビゲーションウィンドウにある詳細ツールでは、パフォーマンスに影響を及ぼす設定箇所や、パフォーマンス管理ツールを呼び出すことが可能だ。同ウィンドウの<詳細ツール>をクリックし、表示される「パフォーマンスの問題」セクションでは、Diagnosis系イベントログの情報を元に、パフォーマンスダウンを引き起こしている問題を列挙し、解決策を提示してくる(図687~688)。

図687: 詳細ツールを開くと、各情報を元にWindows 7に悪影響を与えている問題が列挙される

図688: 「パフォーマンスの問題」セクションにある項目をクリックすると、問題の要因を説明するダイアログが現われる。内容を確認し、設定変更やアプリケーションを終了したら<一覧から削除>ボタンをクリックする。<OK>ボタンをクリックしても問題項目は削除されない

また、Windows Vistaでは、CPUやディスク、ネットワークといった各リソースの概要やグラフ表示を行なう「信頼性とパフォーマンスモニタ」というMMC(Microsoft Management Console)のスナップインが用意されていたが、Windows 7では単独の実行プログラムである「リソースモニター」に置き換わった。機能的な差異は少ないものの、各デバイスに対するタブが設けられたことで、詳細情報の監視と確認が行なえる(図689)。

図689: 図687の<リソースモニターを開く>をクリックすると起動する同名のツール。各デバイスやプロセスの詳細情報を確認できる