KDDIは「au」の各種サービスなど200以上のシステムが稼働する全社共通のプライベートクラウド「CKKB Traditional」の運用効率化・自動化のために「VMware Aria Operations(旧称 VMware vRealize Operations)」を導入しました。利用者の増加に伴って生じた、収容設計の負担や遊休リソースの散在といった課題について、各クラスタにおけるCPU・メモリ・DISKの状況をリアルタイムで可視化することによって、効率的な管理が可能となったのです。さらに、各種仮想マシンの状況からリソースを適正化し、遊休リソースも回収することができるようになりました。VMware Aria Operationsは、KDDIサービスを支えるプライベートクラウド基盤の最適化に貢献しています。

ソリューション

全社共通のプライベートクラウド「CKKB Traditional」に「VMware Aria Operations」を導入。リソースの利用状況をリアルタイムで可視化し、利用者側に共有するとともに、リソース最適化機能を用いることによって、収容設計の効率化・遊休リソースの回収を実現する。

導入前の課題

  • 収容設計の負担が大きく、基盤リソースの提供までに2〜3週間かかっていた
  • リソースの過剰割り当てがあり、遊休リソースが散在していた
  • リソースが足りず新規申し込みを受け付けできないことがあった

導入効果

  • リソースの可視化によって、最短翌日に基盤リソースを提供
  • CPUの3割・メモリの2割を遊休リソースとして回収
  • 需要予測機能で長期的な増設計画の立案が可能に

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基盤リソースを提供するまでのリードタイムと遊休リソースの散在が課題に

KDDIは携帯電話事業を主軸に、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育などのライフデザインサービスを手がける大手総合通信事業者です。同社は2018年、全社共通のプライベートクラウド基盤として、「CKKB Traditional」をリリースしました。au IDに紐付く各種サービス・アプリなどが、このクラウド上で日々開発されています。

社内に浸透するにつれ、CKKB Traditionalの利用は急速に拡大していきました。その結果、新たに2つの課題が生じたと、DX推進本部 プラットフォーム技術部 インフラ基盤3グループ コアスタッフ 前島直斗氏は言います。

  • KDDI株式会社 DX推進本部 プラットフォーム技術部 インフラ基盤3グループ コアスタッフ 前島 直斗 氏

    KDDI株式会社
    DX推進本部
    プラットフォーム技術部
    インフラ基盤3グループ コアスタッフ
    前島 直斗 氏

「1つ目の課題は『開発環境の提供に時間がかかる』ことです。管理者側で収容設計を実施しているのですが、冗長化のための分散といった要望の検討に時間を要してしまい、2〜3週間のリードタイムが発生してしまっていたのです」(前島氏)

CKKB Traditionalは利用申し込みがあると、内容を精査し、提供可否判断が下された後、プロビジョニング作業が進められるといったフローになっています。表計算ソフトにまとめた現リソースと申し込み内容を照らし合わせながら、必要なリソースが空いているかどうか、どのように割り当てていくか検討しなければなりません。利用拡大にともない複雑化した結果、まるでパズルを解くような収容設計が必要になってしまいました。

「2つ目の課題は『遊休リソースの散在』です。リソースが過剰に割り当てられており、適切に活用できていないケースがあちこちに見受けられました。一方で全体的なリソース不足から、新規の申し込みを受け付けできないこともありました。長期化する半導体不足によって、今は機器をすぐに増設することが難しくなっているため、遊休リソースの最適化は全社的なミッションとなっており、CKKB Traditionalにも早急な対応が必要でした」(前島氏)

VMware Aria Operationsの導入によって、リソースの使用状況をリアルタイムで可視化

『開発環境の提供に時間がかかる』『遊休リソースの散在』という2つの課題に対し、KDDIは次のような課題解決方針を打ち立てます。

「1つ目の課題に対しては、『管理者主体から、利用者主体のリソース設計』と方針を改めました。リアルタイムな収容状況を利用者自身が確認できるようにすることによって、どのようにリソースを使うか、事前に考えてもらうことができます。2つ目の課題は、『仮想マシン単位でのリソース使用状況把握』です。リソース使用率が低いものは割り当てを引き下げて、最適化していく運用方針を定めたのです」(前島氏)

いずれの対応方針においても、重要なポイントとなるのが「可視化」と「運用の自動化」です。リアルタイムに、あるいは仮想マシン単位でリソースを可視化し、運用するにはどうすればいいのか。KDDIが選んだソリューションは「VMware Aria Operations」でした。

VMware Aria Operationsは、ITインフラの運用管理を自動化するためのクラウドプラットフォームです。稼働データを収集・分析し、アクションを自動実行することができます。

「もともとCKKB TraditionalはVMware製品を利用して環境構築をしていたのですが、新たな課題について相談したところ、VMware Aria Operationsをご提案いただきました。リソースの可視化やパフォーマンス管理の自動化ができることに魅力を感じ、課題の克服に向けて導入を進めていったのです」(前島氏)

VMware Aria Operationsは、基盤のリソース使用状況をクラスタ単位で可視化・ビジュアル化することができます。DX推進本部 プラットフォーム技術部 インフラ基盤3グループ コアスタッフ 染谷諭司氏は、この機能を用いた「リソース残量確認ダッシュボード」の構築について、次のように語ります。

  • KDDI株式会社 DX推進本部 プラットフォーム技術部 インフラ基盤3グループ コアスタッフ 染谷 諭司 氏

    KDDI株式会社
    DX推進本部
    プラットフォーム技術部
    インフラ基盤3グループ コアスタッフ
    染谷 諭司 氏

「同じVMware 製品なので導入は極めてスムーズでした。既に利用しているVMware製品との親和性が抜群で、自動的に連携してくれるのです。さらにWeb APIが公開されているので、社内システムとの連携や通知の実装なども容易にできました 。『リソース残量確認ダッシュボード』については、ユーザビリティを考えて、社内ポータルに掲載したURLからダッシュボードにアクセスできるようにしています。ダッシュボードのデザインは重要なポイントでしたが、VMwareのプロフェッショナルサービスを通じて、リソースの空き容量がひと目でわかるような設計支援をしていただきました。おかげで、当社の希望を実現するシンプルでわかりやすいダッシュボードができました」(染谷氏)

リソース残量確認ダッシュボードによって、すべてのリソースが利用者側に公開されているわけではありません。カスタマイズしたメトリックを実装することができるVMware Aria Operationsは、基盤の安定稼働に必要なリソースをあらかじめ確保したうえで、残りのリソースのみを公開できます。さらに、リソースが枯渇した場合は自動で閉塞処理をおこない、その際は管理者に通知する仕組みが設けられています。

「VMware Aria Operationsは、仮想マシンごとに『どこまでリソースを引き下げることが可能か』提案してくれる機能も有しています。この機能を使うことで、サイズ過剰だったり、長期間利用されていなかったりする仮想マシンからリソースを回収できるようになりました」(染谷氏)

  • システム構成図

    システム構成図

運用効率化・リソース最適化に大きく貢献。カーボンニュートラルなデータセンターを実現していく

リソース残量確認ダッシュボードによって、利用者側が空き状況を確認してから申し込みするようになれば、管理者の負担は大きく減ります。

「これまでは開発環境の提供に2〜3週間かかっていましたが、VMware Aria Operationsによって、最短で翌日には提供開始できるようになるでしょう。より迅速にサービスの開発環境を整えることは、KDDIの目指す『通信とライフデザインの融合』に貢献できる取組みだと考えています。また、遊休リソースについても、CPUの3割と、メモリの2割は回収できる見込みです」(前島氏)

さらに前島氏はVMware Aria Operationsの「需要予測機能」を活かしていきたいと展望します。

「これまでの需要予測は、利用者へのヒアリングに基づくものであり、大きな負荷がかかっていました。VMware Aria Operationsはリソース枯渇までの期間を予測してくれるので、長期的な増設計画に役立てることができると考えています。データセンターの電力消費量は大きく、温室効果ガス排出の影響が懸念されていますから、こうしたリソース最適化の取組みは、カーボンニュートラルを実現し、SDGsに貢献する意義もあると思っています」(前島氏)

  • 集合写真

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●業界
TELECOMMUNICATIONS

●カスタマープロフィール
日本の大手電気通信事業者。国際電信電話業務を担うべく1953年に設立されたKDDが前身。現在は「au」「UQ mobile」「povo」などの携帯電話事業や、企業向けの通信サービス、ICTソリューション、データセンターサービスなどを展開。個人向けのコマース、金融、決済、エンターテインメントサービスなどの提供により、「通信とライフデザインの融合」による価値創造を進めている。

●ユーザーコメント
「不要な情報は載せず、リソースの空き容量がひと目でわかるようなダッシュボードの設計支援をヴイエムウェアにしていただきました。おかげで、当社の希望だったシンプルでわかりやすい可視化が実現できました」
――KDDI株式会社 DX推進本部 プラットフォーム技術部 インフラ基盤3グループ コアスタッフ 染谷 諭司 氏

●導入製品・サービス
・VMware Aria Operations
・VMware プロフェッショナルサービス

[PR]提供:ヴイエムウェア