まず本題に入る前に、前2回の記事で解説した印刷管理ソリューションを選ぶうえで配慮すべきポイントを大きく3つにまとめてみたい。

1つ目は、メーカー、機種に関わらず対応できるマルチベンダー・マルチデバイス対応であること。オフィスにある印刷機が、すべて同じメーカー・機種である可能性は決して高くないからだ。

2つ目は、印刷品質に影響が出ないことだ。印刷内容は把握できるようになったが、印刷はカタログスペックで出力できないようでは、元も子もない。印刷物を1枚出力するのに数十秒かかっていては、業務に大きな支障をきたしてしまう。

3つ目は、印刷内容ログの正確性だ。印刷内容ログはイメージで取得しOCRを利用してテキストに落とすというソリューションが多い。しかし、日本語OCRによる識字率は使用しているフォントの大きさや形式、背景の色、文字の色に大きく左右されるため、内容監査がスムーズに行えないものも多い。内容を正確に把握できなければ監査を行えないので、OCRに頼らない印刷内容ログを管理できるソリューションを選ぶことがポイントだ 。

上記3つのポイントを踏まえ、これらを網羅した印刷管理ソリューションを紹介したい。

メーカーに縛られない「SPSE」シリーズ

印刷管理ソリューションによっては、プリンターメーカー製純正ドライバーではなく、独自のドライバーを実装して出力しているものもある。しかし、純正ドライバーではない場合、文字化けや印刷のズレ、印刷速度の低下といったトラブルを招きやすく、そのためメーカーのカタログスペックは担保されないこともある。「印刷品質に影響が出ない」という点においては、純正ドライバーが最適なのである。

この“機器との相性”を意識することなく、印刷管理できるソリューションが、日本テクノ・ラボの「SPSE」シリーズ「SPSE PRINT LOGGER」と、「SPSE PRINT SCOPE」である。

SPSE PRINT LOGGERは、印刷の実行状況を高い精度で把握し、可視化するソリューションだ。可視化されたデータに基づいて印刷ポリシーを設定すれば、印刷コストを大幅に削減できる。例えば、営業部では社内資料もカラー片面で印刷しているということがわかれば、「社内資料用はモノクロ限定。顧客提出用と指定されている場合のみカラーで、両面印刷」とポリシーを設定すれば、コスト削減効果は高まる。

また、同製品はマルチベンダー対応であり、MIB(Management Information Base)情報に加えて、独⾃の印刷データ解析技術が⾦融機関や⾃治体に評価され、多数の導⼊実績を持つ。

  • 部門別印刷枚数の例。プリント、コピー、モノクロ、カラー比率を把握し、印刷量の削減目標を立てる
  • 部門別印刷枚数の例。プリント、コピー、モノクロ、カラー比率を把握し、印刷量の削減目標を立てる
  • 日本テクノ・ラボ社印刷管理ソリューション「SPSE PRINT LOGGER」による部門別印刷枚数の例。プリント、コピー、モノクロ、カラー比率を把握し、印刷量の削減目標を立てる

大手金融機関や自治体でも採用されているSPSE PRINT SCOPE

結局のところ、プリンターの印刷時に機器前で認証を行うオンデマンド印刷では、スタッフによる漏えいは防ぎきれない。むしろ誰もいないタイミングで悪意のあるスタッフが印刷を行うなどの行為を容易にさせてしまっている面もある。スタッフのE-mailを経由した外部への送信や、USBメモリなどによるファイル持ち出しを監査・制限するのと同じ様に、印刷物の内容も検閲・監査をしてこそ漏えいを防げるのだ。

SPSE PRINT SCOPEは、プリンターメーカー純正ドライバーを利用しつつ、印刷物の内容も検閲・監査を行えるソリューションである。同製品が大手銀行、大手証券、大手製造業、大手通信業、官公庁、自治体など、情報漏えい対策を先行してきた業種に採用されているのは、OCRに頼らないテキスト抽出と、JPEGやPDFといった汎用フォーマットで印刷イメージを得られ、高機能のインデックス検索エンジンによる高速検索が可能である点が、その大きな理由である。 画面イメージは、本連載「これから始める印刷管理」の第二回を参照いただきたい。

他のメーカーでも認証印刷機能や、部数を変更しての印刷、E-mailでの管理者通知などの機能は搭載しているが、SPSE PRINT SCOPEは印刷物の内容をテキストとイメージで取得して抽出が可能なため、特定のキーワードを持つ印刷出力を制限するといった設定も可能だ。また、「印刷は、純正ドライバーに任せる」という手法をとっているため、印刷機器がもつカタログスペック通りの性能が発揮できる。ユーザーは使いたい機種を自由に選択できる事も、機器調達の上で安心な要素だ。

導入コスト対策へのアプローチ

「確かに、導入規模が小さいほどセキュリティにかけられる金額は小さくなるのは仕方がないことですが、実は印刷にかかるコストは思っている以上に削減が可能です。削減できたコストを利用して、セキュアな印刷環境を構築するのが私たちの理想のオフィス環境です」と日本テクノ・ラボ 取締役 情報セキュリティユニット部長 の小長谷岳人氏は語る。

同社ではSPSE PRINT LOGGERによる、印刷実態の可視化から、不要な印刷コスト(機器や印刷ポリシー)の改善をアドバイスし、最終的にはSPSE PRINT SCOPEにより、セキュアなオフィス環境の構築までを手がけている。

自治体の事例については、以下のページに詳細が記載されているので、興味のある方は是非ともご覧いただきたい。 自治体通信ONLINE 「千葉県成田市の取り組み」

「これから始める印刷管理」は、本稿で最終回を迎える。本連載でお伝えした情報が、印刷管理の実現に役立てていただけたら幸いである。

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