第2回は、電波を発信する機器が電波法で定められた無線送信特性に合っていることを証明する「技術基準適合証明」です。

電波法と技術基準適合証明について

電波の公平利用や、混信、妨害を防ぐために「電波法」という法律があることをご存知でしょうか。無線機器を製造・使用する場合は、電波法に適合した機器であることの証明を受ける必要がありますが、その証明が「技術基準適合証明」です。

もう1つ、通信事業者が順守すべき法律の一つに「電気通信事業法」があり、技術基準適合証明済みの通信機器が通信回線に接続する仕様を満たしている場合、その通信機器は「技術基準適合認定」を受けることができます。

日本国内の携帯キャリアに接続する携帯電話や通信モジュールは、技術基準適合証明と技術基準適合認定の双方を取得した機器でなければなりません。

  • 技術基準適合証明:電波法に適合している証明。無線送信に関する特性を確認する。□の中にRの記号で表示される。
  • 技術基準適合認定:通信事業法に適合している認定。通信回線に接続する機器を認定する。□の中にTのマークで表示される。

携帯電話の場合は、技適マーク表示にRとTのマークが記載されています。

技適マーク

技適認定を受けた携帯電話や通信モジュールは、技適マークの表示が義務付けられており、携帯電話では本体背面や本体カバーを開けた内側に表示してあることが一般的です。近年は、ソフトウェアで技適マークをディスプレイに表示するデバイスも増えてきました。

海外端末は技適の確認を

外国で製造された携帯電話やWi-Fiルーターの多くは、日本の法令に準じた技適マークが付いていません。それらの端末では、国や地域ごとの技適に相当する認定とそのマーク(例:米FCC、欧CEマーク)が表示されます。なお、訪日外国人が増加している昨今、渡航者が日本国内で海外製端末を利用するケースが増加すると見込まれています。そのため、電気通信事業法などの改正により、利用条件が一部緩和されています。

訪日外国人だけでなく、今後はIoTデバイスの増加により、無線機能を使用するさまざまなデバイスを企業として輸入・導入するケースも増えてくると思われます。ただ、法令を順守するためにも、輸入した海外端末が国内で使用できるのか、各種条件をしっかりと確認した上で利用するように注意してください。なお、技術基準適合証明を受けた端末は「総務省Webサイト」で検索できます。

著者プロフィール

上竹 勝彦(うえたけ・かつひこ)
ソフトバンク 法人事業統括 ICTイノベーション本部 モバイルES統括部 モバイルサービス部

携帯電話用のIPネットワーク構築、メールサービス実装、迷惑メール対策を経て、現在はモバイルの法人向けサービス「ソフトバンク 法人サービス M2Mソリューション」の開発を担当。