Snowflakeは11月3日(米国時間)、イベント「Snowflake EXPEDITION 2026」において、企業向けAIエージェントの活用を支援する新機能を発表した。AIが企業固有の業務やデータの意味を理解する仕組みを整備するとともに、AIエージェントによるデータ基盤の構築・運用や業務の自動化を強化する。
同社は、企業のAIエージェント活用に必要なデータ、ビジネスコンテキスト、ガバナンス、業務実行機能を一体的に提供する方針を示した。
プロダクト担当上席副社長(EVP)であるクリスチャン・クライナマン氏は、AIエージェントが企業の業務を正しく実行するには、データへのアクセスだけでなく、企業固有のビジネスの意味やルールを理解する必要があると説明している。
今回の発表では、AIエージェントが参照する業務上の定義を統一する「Business Ontology」、エージェントの利用を一元管理する「Cortex AI Gateway」、データパイプラインの構築・運用を自動化する機能、AIエージェント「Snowflake CoCo」「Snowflake CoWork」の機能拡張などが明らかになった。
AIエージェントが企業の業務を理解する「Business Ontology」
「Business Ontology」は、企業内で使われる業務用語や指標の意味を定義し、AIエージェントが共通の解釈に基づいて回答できるようにする機能だ。
例えば、「売上」という指標でも、企業内の部門やシステムによって集計対象や計算方法が異なる場合がある。AIエージェントがそれぞれ異なる定義を参照すると、同じ質問に対して異なる回答を返す可能性がある。
Business Ontologyでは、業務上の用語や指標の正式な定義を責任者が承認し、関連するデータテーブルやセマンティックビューと紐付ける。承認された定義を複数のAIエージェントで共有することで、回答の一貫性と追跡可能性を確保する。
同機能は「Snowflake Horizon Catalog」の「Horizon Context」に追加されるもので、近日中にパブリックプレビューを開始する予定。
AIエージェントの利用状況やコストを一元管理
AIエージェントの管理機能としては、「Cortex AI Gateway」を拡充した。
Cortex AI Gatewayは、クラウドやAIモデルの提供事業者、エージェントの開発フレームワークを横断して、共通のセキュリティポリシーやアクセス制御を適用する仕組みだ。
新機能の「Dynamic Model Routing」は、コスト、精度、応答速度などの条件に応じて、組織が承認したAIモデルの中から適切なモデルを選択する。高性能なモデルを必要としない処理には低コストのモデルを利用することで、AIの運用費用を抑える狙いがある。
また、「Agent Abuse Detection」はAIエージェントの一連の動作を分析し、権限を逸脱した操作や不適切な利用を検知する。「Agent Trace Intelligence」では、エージェントの処理履歴を分析し、処理の失敗や非効率な動作、コストの発生状況などを把握できるようにする。
Dynamic Model Routing、Agent Abuse Detection、Agent Trace Intelligenceはいずれもプライベートプレビュー段階となる。一方、エージェントの動作を記録するObservabilityやコスト管理機能は一般提供されている。
データパイプラインの構築・監視・修復をAIが支援
データエンジニアリング分野では、AIエージェントを利用してデータパイプラインの構築や運用、障害対応を自動化する機能を発表した。
「CoCo Cloud Agents」は、Snowflakeが管理するクラウド環境でAIエージェントを実行する機能。エンジニアが作業端末から離れた後も処理を継続でき、長時間のタスクやチーム間の共同作業に対応する。
「CoCo Automations」では、パイプラインの稼働状況の確認や障害調査といった定期的な作業を自然言語で指定し、スケジュールに従って実行できる。
障害が発生した場合には、AIエージェントが原因を調査して修正案を提示する。実際に本番環境へ変更を適用するかどうかはエンジニアが判断する仕組みで、AIによる自動化と人間による承認を組み合わせる。
CoCo Cloud AgentsとCoCo Automationsは一般提供が開始されている。
また、視覚的な操作でデータパイプラインを設計する「Snowflake Pipeline Builder」もパブリックプレビューとして提供。CoCoに自然言語で指示してパイプラインを構築することもできる。
リアルタイム分析機能も強化した。データの取り込みから変換、分析までをSnowflake上で処理する機能を拡充し、AIエージェントやアプリケーションが最新のデータを利用できる環境を整備する。
CoCoとCoWorkを強化、AIエージェントがバックグラウンドで業務を実行
AIエージェント「Snowflake CoCo」と「Snowflake CoWork」についても機能を拡充した。
CoCoはデータエンジニアや開発者向けのコーディングエージェント、CoWorkはビジネス部門の従業員向けの業務支援エージェントとして位置付けられる。
新たな「CoCo and CoWork Bots」は、ユーザーが設定した目標に基づき、バックグラウンドで作業を継続するAIエージェントだ。必要な判断や承認が発生した場合にユーザーへ確認を求める。
例えば、顧客との商談に向けた資料の準備や、データパイプラインの稼働状況の監視などを継続的に実行する用途を想定している。
また、CoWorkでは定期的な売上分析やレポート作成を自動化できるほか、メモリ機能やダッシュボード機能を通じて、過去の作業結果や分析内容を再利用できるようにする。
CoCo and CoWork Botsはプライベートプレビュー段階。メモリ機能やダッシュボード機能などもプレビュー段階にある。
Snowflakeによると、同社の顧客数は世界で1万4500社以上に達し、CoWorkは5800以上、CoCoは9100以上のアカウントで利用されている。
顧客・パートナー向けの無料AIトレーニングも提供
このほか、Snowflakeは顧客とパートナーを対象に、無料の基礎トレーニングプログラム「Snowflake Practitioner」を提供すると発表した。
データアナリスト、データエンジニア、プラットフォーム管理者の3つの職種に応じた学習コースを用意。2日間のカリキュラムを基本とし、講師による指導とオンデマンド学習に対応する。
各コースのハンズオン演習にはSnowflake CoCoを組み込み、AIを活用したデータ分析やデータ基盤の運用方法を学べるようにする。演習環境は30日間利用できる。



