Snowflakeは9月11日と12日、年次イベント「Snowflake World Tour Tokyo」を開催した。初日の基調講演において、社長執行役員の浮田竜路氏は、国内におけるSnowflakeのAIサービス利用率が84.2%に達しており、その成果が出始めていると紹介した。

AIをフル活用するため、データ基盤の整備に注力する企業が増えている一方、浮田氏は「ガバナンス」「コスト管理」「データの精度や鮮度」「データの分断」などを課題として挙げた。

こうした状況を踏まえ、浮田氏は「AIを効率的かつ効果的に使うことが課題と考えている」と指摘した。

  • Snowflake 社長執行役員 浮田竜路氏

    Snowflake 社長執行役員 浮田竜路氏

AIを導入するだけではデータの問題は解決しない

続いて、登壇した米Snowflake プロダクト担当上席副社長 (EVP)のクリスチャン・クライナマン氏は、AIエージェントが自律的に業務を遂行・連携する組織「エージェンティックエンタープライズ」について説明。「エージェンティックエンタープライズが幕を開ける」と述べた。

  • 米Snowflake プロダクト担当上席副社長 (EVP) クリスチャン・クライナマン氏

    米Snowflake プロダクト担当上席副社長 (EVP) クリスチャン・クライナマン氏

エージェンティックエンタープライズでは、ルーチンワークをAIエージェントが担い、従業員はエージェントにガイダンスを与えながら業務を進めていくという。

一方、クライナマン氏は、「AIを導入しさえすれば、データの問題は自動的に解消される」という誤解があると指摘した。現実はどうなのか。

クライナマン氏は、「今、企業においてデータが分断化され、重複している。こういう状態でAIを使ったとしても成果が出ない。分断されたエンタープライズアーキテクチャがAIの可能性を閉ざす」と指摘した。

Snowflakeが描く「エージェンティックエンタープライズ」とは

Snowflakeは、真の意味でエージェンティックエンタープライズになるための要素として、以下4つを掲げている。これらの土台となるのがAI Data Cloudとなる。

  • AIモデルの選択
  • エンタープライズデータとコンテキスト
  • ソフトウェアとアプリケーション
  • エージェンティック・コントロールプレーン
  • エージェンティックエンタープライズに必要な4つの要素

    エージェンティックエンタープライズに必要な4つの要素

この4つの要素の中心となるのが「エージェンティック・コントロールプレーン」だ。クライナマン氏は、AIエージェントを企業で本格的に活用するには、データやAIモデル、ソフトウェア、アプリケーションを統合的に管理するコントロールプレーンが必要になると説明した。

例えばAIモデルについては、タスクに応じて最適なモデルを選択し、トークンコストを最適化する。また、セキュリティ面では、AIエージェントが機微な変更を行う際に複数人による承認を求めるなど、企業が統制を効かせた状態でAIを利用できるようにする。

AIモデルを自動選択する「Cortex AI Gateway」、CoWorkやCoCoにも統合

こうしたAIモデルの選択とコスト管理を支えるのが「Cortex AI Gateway」だ。同サービスは、品質や速度、コストなどに基づき、タスクに適したAIモデルを自動的に選択する。

例えば、比較的単純なタスクには効率的なモデル、高度な推論が必要なタスクにはフロンティアモデルを割り当てることで、AIの品質を確保しながら不要な推論コストの削減を図る。

クライナマン氏は「Cortex AI Gateway」がパブリックプレビューになったことを発表し、AIのコストを下げるだけでなく、価値を生み出していないAIにコストをかけないことが重要だと強調した。

このほかSnowflakeは、エージェンティック・コントロールプレーンを活用するAIエージェントとして、ナレッジワーカー向けの「Snowflake CoWork」と、開発者向けのAIコーディングエージェント「Snowflake CoCo」を紹介した。

CoWorkは、企業のデータやコンテキストを活用しながら業務を支援するパーソナルAIエージェント。一方、CoCoはソフトウェア開発を支援するAIコーディングエージェントで、クライナマン氏はCoWorkでは正確性、CoCoではタスクを素早く完了することを重視していると説明した。