【 物流2024年問題にどう対処?】物流大手15社が出資する「ボックスチャーター」の新・物流戦略

小ロットと大ロットの間の領域

 

「物流業界では時間外労働の上限規制に伴う『2024年問題』によるトラックドライバー不足が続いており、全体の輸送能力は縮小が継続している。宅配便といった小ロットとトラック貸切便の大ロットの間にある〝空白領域〟には対応しきれていない効率化ニーズがあり、ここに市場機会が存在する」─。このように語るのはボックスチャーター社長の柴﨑安利氏だ。 

「このままでは日本のインフラや社会は成り立たない」─。物流業界ではこんな声が漏れ聞こえる。人手不足や高齢化、長時間の荷待ち・荷役時間、低い積載効率……。以前からトラックドライバーが直面するこれらの課題は指摘されてきたが、抜本的な解決は図られていない。 

 何も手を打たなければ2030年には約3割の荷物が運べなくなる─。そう言われる中で物流現場の効率化を推進する手法が花開き始めている。それが「JITBOXチャーター便」だ。これを運営するのがボックスチャーター社。各企業が「ロールボックスパレット」と呼ばれる鉄柵のカゴ台車に荷物を載せ、複数社のカゴ台車を1台のトラックに混載して輸配送する仕組みだ。 

 カゴ台車は大きさが規格化されており、それが様々なメリットを生んでいる。宅配便では運べない大きさや量で、トラック1台を貸切るほどではない荷物を運ぶことが可能だ。また、手作業のばら積みでは通常1~2時間かかる荷役作業が台車底面のキャスターでそのまま移動・積み込みできるため、大型トラック1台分に16本の積み込みが約7分で完了する。その結果、「ドライバーの待機時間も大幅に削減できる」(同)。 

 柴﨑安利・ボックスチャーター社長

 一方、1平方メートル×高さ170センチのカゴ台車を1本単位とした「スペース売り」が基本となっているため、料金体系が明確にしやすい。そのため、利用するユーザーにとっては「価格の透明性が確保されており、運送会社との煩雑な運賃交渉が不要で、スムーズに共同輸配送ネットワークを活用できる」と柴﨑氏は語る。 

 通常、1社が1台のトラックを貸し切って荷物を運ぶと、積載率も平均4割にとどまり、半分以上のスペースが空いてしまうケースが常態化している。しかし、JITBOXチャーター便は複数の物流企業が輸送網を共有する「共同輸配送」の形をとっており、企業間物流に特化。機械工業品が全体の約30%を占めており、その他に食品飲料や日用雑貨などが続く。規格化されたカゴ台車で輸送されるため、常に高い積載効率を維持できる。 

 特に「工場間輸送や物流センターから量販店などへの輸送といった中間工程で価値を発揮している」(同)という。さらに保冷輸送が可能な「クールBOXチャーター便」では、厳格な温度管理を要する半導体関連の荷物の長距離輸送にも対応している。 

 いずれにしても、共同輸配送を実現するためには、本来は競合関係にある各社が手を握る必要があった。

 

宅急便の仕分け向けに開発

 

 実はこのボックスチャーターという会社の設立は2002年、JITBOXチャーター便が誕生したのは06年のこと。まだ「物流危機」が叫ばれる以前のことだ。しかも同社にはヤマト運輸や西濃運輸、日本通運など15社が出資している。 

「今から20年以上前に、当時のヤマト運輸や西濃運輸、日本通運などの大手運送会社の経営陣が将来の人手不足を見越し、個社ごとのフルカスタマイズではない〝標準化モデル〟こそが、危機を乗り越える鍵になると見抜いていた」と柴﨑氏は語り、「課題が浮き彫りになったことでJITBOXチャーター便の価値が再認識された。ようやく時代が追いついてきたという感じがしている」と話す。 

 実際、25年度の販売本数は前年度比9.4%増の111万本と過去最高を達成。26年度は120万本を目指すとしている。そもそもこのカゴ台車もヤマト運輸が百貨店向けの宅急便の仕分けなどの効率化を目的に開発したもの。鉄柵のカゴ台車であるため、事故発生率は0.04%。集荷・配達を都道府県ごとに地域を熟知した加盟会社が担当するため、配達時間指定の順守率も99.8%を誇る。さらにリターナブルな梱包資材の利用によって年間約27トンの廃材排出を削減することにも寄与している。 

 ヤマト運輸出身の柴﨑氏は「単なる運送サービスではなく、社会課題を解決するプラットフォーマーを目指す」と意気込む。例えば、大きなイベント会場で搬入時に多数のトラックが長蛇の列を作る点に着目し、同社の予約システムと共同輸配送網を活用して、荷物をターミナルに集約し、最小限の車両で一括納品する仕組みを構想している。これにより交通渋滞や待機時間も削減できる。 

 そんな柴﨑氏には荷物を運ぶことの使命感を抱く原体験があった。ヤマト運輸の関西にあるターミナルで責任者を務めていた19年10月、消費税増税時の駆け込み需要で荷物が膨れ上がり、荷物を捌ききれなくなるほどの極限状態を経験。「何としても安全に荷物をお客様に届けなくてはならない。その一心だった」と振り返る。 

 社内の経営資源を見つめ直し、さらには物流業界共通の課題解決に向け、会社の垣根を超えた提携を実践しているボックスチャーター。宅配便、トラック貸し切り便に続く「第3の物流の選択肢」として業界に根付かせていくことが今後の発展に向けた鍵となる。

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