この電子部品ニュースのまとめ

・村田製作所が世界最小クラスとなる1.0mm角のスイッチ付き高周波同軸コネクタを量産
・従来品比で実装面積を約40%、専用プローブを含む占有面積を約60%削減
・DC~15GHzに対応し、スマートフォンやウェアラブル機器の高密度実装を支援

村田製作所は10月29日、世界最小クラスとなる1.0mm×1.0mm×0.55mmのスイッチ付き高周波同軸コネクタ「SWLシリーズ」を開発し、2026年8月から量産を開始したと発表した。

製品名は「MM8330-2600RJ5」と「MM8330-2600RK20」で、梱包数量はそれぞれ5000個巻きと2万個巻き。周波数範囲はDC~15GHz、インピーダンスは50Ωとなる。

  • 村田製作所の1mm角スイッチ付き高周波同軸コネクタSWLシリーズ

    村田製作所が開発した1.0mm×1.0mm×0.55mmのスイッチ付き高周波同軸コネクタ「SWLシリーズ」。DC~15GHzに対応し、2026年8月から量産を開始した (出所:村田製作所)

従来品比で実装面積を約40%削減

従来の「SWJシリーズ」は外形寸法が1.4mm×1.2mm×0.65mmであったが、SWLシリーズは長さと幅をともに1.0mm、高さを0.55mmとし、基板上の実装面積を約40%削減した。

スマートフォンやウェアラブル機器では、高機能化や対応周波数帯の増加によって搭載部品が増えているが、筐体や基板を大型化することは難しかった。同社は、高周波設計技術と機構設計技術を組み合わせた独自構造を採用することで、高周波信号の低伝送損失と機械的な堅牢性を維持しながら小型化を実現。コネクタが占める面積を減らすことで、アンテナ、フィルタ、アンプなどを配置するためのスペースや設計自由度を確保できるようにした。

スイッチ付き高周波同軸コネクタは、スマートフォンなどに搭載されるRF回路の検査に用いられるもので、通常時は機器内部のRF信号をアンテナ側へ通すが、検査時に専用プローブを接続すると、信号経路を測定装置側へ切り替えることができる。これにより、測定用ケーブルを基板へ直接はんだ付けせずにRF信号を取り出し、回路の特性や動作状態を確認することが可能となる。

製造工程の早い段階でRF回路の不具合を発見できれば、部品や材料のロス、設計・製造の手戻りの削減にもつなげられる。

専用プローブを含む占有面積を約60%削減

高周波同軸コネクタを基板へ実装する場合、コネクタ本体に加え、検査用プローブを接続するための空間も確保する必要がある。

周辺へ別の部品を配置するとプローブの先端や保持機構が干渉する可能性があるため、周囲には部品を配置しないキープアウトエリアが設けられる。

SWLシリーズでは、専用のオートプローブとマニュアルプローブも小型化した。コネクタ本体とプローブの接続に必要なキープアウトエリアを含めた占有面積は、従来品比で約60%小さくなるという。

  • 実装面積・占有面積比較

    新製品となるSWLシリーズと従来品であるSWJシリーズの実装面積・占有面積比較 (出所:村田製作所)

コネクタ単体ではなく、量産検査や開発時に必要な空間まで含めて小型化することで、基板のさらなる高密度実装を可能にする。

量産工程で検査装置から自動接続するオートプローブと、開発、試作、故障解析などで作業者が手動接続するマニュアルプローブを用意し、自動検査と手動測定の双方に対応する。専用プローブは2026年12月の量産開始を予定している。

  • スイッチ付き高周波同軸コネクタとプローブを用いたRF信号測定の仕組み

    スイッチ付き高周波同軸コネクタとプローブを組み合わせたRF信号測定のイメージ (出所:村田製作所)

スマートフォンやウェアラブル機器へ展開

SWLシリーズはDC~15GHzに対応し、スマートフォンやウェアラブル機器をはじめとする無線通信機器への搭載を想定する。

複数の通信規格や周波数帯へ対応する機器ではRF回路が複雑化しており、限られた基板スペースへ部品を配置しながら、開発・製造時の検査性も確保する必要がある。

村田製作所は、高周波特性と機械的性能を維持しつつ、コネクタと専用プローブを一体的に小型化することで、無線通信機器の小型化、高性能化、部品配置の自由度向上を支援するとしている。