アイティフォー会長・佐藤恒徳が語る「地方に支えられた55年 IT企業のCVCで支える側へ」

1972年、海外の情報機器やシステムの販売を手掛ける千代田情報機器の名で創業し、現在は金融・公共・小売向けシステムやCTI・キャッシュレス、セキュリティなど、地域や企業の課題解決とDX推進に寄り添うITサービスを展開してきました。来年55周年を迎えます。

 そんな節目を前に当社は新たな取り組みを始めました。それが事業会社のM&A(合併・買収)や投資支援を行うソーシング・ブラザーズとのジョイントベンチャーの設立です。新会社「アイティフォー・グロースキャピタル」はM&Aや投資、買収・投資先の事業開発を一体的に行い、私が社長に就きました。

 なぜITサービスの会社がM&Aや事業投資に注力するのか。それは当社が歩んできた歴史にあります。そもそも当社は千代田情報機器時代にプリンターなどのハードの売り切りモデルからクレジットカード会社の延滞回収業務でソフト開発に着手。そこから金融機関向けのシステムをパッケージで販売する事業転換を成し遂げました。

 ただし、当社は後発です。大手のシステム会社は既に都市銀行のシステム開発を任されていました。そこに後発である当社が正面から立ち向かっても勝ち目はありません。そこで我々が注目したのが130行を超える地方銀行などの地域金融機関でした。共通パッケージを開発し、それをベースに各行の要望に応じてカスタマイズしたシステムを提供してきたのです。

 また、47都道府県で事業を展開し、地銀での採用実績が信用を生み、地元の百貨店や自治体へも横展開できるようになりました。例えば、銀行ローン延滞債権回収の仕組みを税金に応用することで、自治体市場にも参入することができたのです。結果、法改正に伴うシステム更新需要が継続的に発生することになり、長期的な保守運用が当社の事業の基盤となりました。

 つまり、当社にとって地銀をはじめとした地域金融機関や地方自治体は切っても切り離せない関係であり、地域の皆様のお陰で今の当社があるということです。そんな皆様は今、人手不足や物価高といった逆風に直面し、苦境に立たされています。

 そこで我々が動き出したのが前述のアイティフォー・グロースキャピタルに象徴されるCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)です。地銀のネットワークや情報を活用させていただきながら、地銀が対応しにくい案件であっても、共同出資や補完を行います。あるいは後継者不在の企業には当社の社員を社長として派遣する可能性もあり得ます。これにより地銀との価値の共創を図ります。

 個人的には、全国47都道府県に当社の社員が社長を務める会社が出てきてくれれば嬉しいと思っています。既に約1年半で6社への出資が完了しました。さらには出資・業務提携した企業同士を結び付けていきます。

 例えば、混雑可視化技術を持つ「バカン」、商品のバーコードをスキャンすると多言語で情報表示する「Payke」、消費税免税価格でのEC事業を展開する「WAmazing」と当社を含む4社で定例会議を実施し、各社の強みを持ち寄って新たなアプリ開発などを進めています。

 当社は半世紀以上にわたって地方と共に成長してきました。地方にも可能性のある企業はたくさんある。そんな企業と当社の技術や経営資源を活用することでB to B to Cモデルによる日常生活への浸透を支援していきたいと思っています。地方が困ったら頼れる生活必需の駆け込み寺になりたい─。それが当社の目指す姿なのです。

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