【激動の時代をいかに生き抜くか】日比谷パーク法律事務所代表弁護士・久保利英明

もっと大局的な見地に立って議論を進めるべき

 ─ 今年は戦後81年、そして、昭和元年から起算して満100年の節目の年です。こうした時代の転換期にあって、日本の基本軸が少しズレてきているという指摘もあるんですが、久保利さんは日本の現状をどのように見ていますか。

 久保利 わたしは少々ズレるくらいであればいいけど、この国には、そもそも基本軸と呼べるものが無いのではないか、と思っています。

日本共創プラットフォーム会長・冨山和彦の【 書評 】『トランプ関税 交渉の記録』

 日本は戦後、同盟国・米国と連係して生きてきました。ところが、トランプ米大統領に代表されるように、米国は世界の警察官という看板を下ろし、世界の平和よりも自国が第一だと。

 他の国のことより、米国ファーストだということで、肝心の米国に世界をリードする基軸が無くなってきたから、日本もどう動いていいのか分からなくなってきた。

 世界を率いる米国の存在感というか、米国の国力が低下しているのに、日本は戦後、ずっと米国に右へ倣えしてきたわけだから、どう対処すればいいのか、処方箋が見つからない。

 よく〝失われた30年〟という言い方をしますが、この30年の失敗を高市早苗首相が背負って正しく立て直す方向に向かうのか、それとも的外れだったり、先送りして、日本中がもっと火だるまになるのか。今はその分け目にあるような気がします。

 ─ そうなると、日本は無くなった軸をどう再構築するべきですか。

 久保利 もちろん簡単にはいきません。再構築ではなく、新しい軸をつくるつもりで臨む必要があるのではないかと。少子化や高齢化という問題がいくら対策を立てても変わらないのであれば、変わらないものとして新たな国づくりを始めるべきです。

 例えば、1億2000万人の人口が8000万人になるのであれば、8000万人で生きていける国づくりをする。少子化・高齢化を前提とした国づくりをし、そのために何を売り物にしたらこの国は生きていけるのかと。

 国の政策も目の前のことばかり議論するのではなく、8000万人の国民が食べていけるだけの農業従事者はどれだけ必要なのか。モノづくり国家というけれど、現実にこれから日本でモノをつくって世界で売れるモノとは何なのか。そういうことを考えて、国づくりを考えなければならないと思います。

 ─ 大きな見地に立って、本質的な議論を進めようと。

 久保利 はい。根本的にこの国はどういう国でありたいというビジョンを示し、そのために何をすればいいかを議論するのが大前提であって、いま必要なのは食料品の消費税率を1%に引き下げるとか、そんなレベルの話じゃない。もっと大局的な見地に立って議論を進めるべきだと思います。

 ─ なるほど。では、どこから手をつけていけばいいと考えますか。

 久保利 この国は……。

続きはこちら