イオン、イオングローバルSCM、Mujinは10月29日、フィジカルAIを活用したロボットを導入した物流拠点「イオン川口東XD」(埼玉県川口市)を本稼働したと発表した。商品の仕分けから混載積み付けまでの一連の工程をイオンとして初めて自動化。商品の位置ずれや荷崩れが発生した場合も、ロボットが状況に応じて動作を調整し、作業を継続できるという。
イオンは、物流業界の人手不足やコスト上昇などに対応するため、物流構造改革を進めている。2023年10月には、ロボット制御技術を手がけるMujinとパートナーシップを締結し、物流拠点の自動化に取り組んできた。
2024年7月に稼働した「イオン福岡XD」では、自動倉庫からの出庫やソーターへの投入までを自動化。今回のイオン川口東XDでは、自動化の対象を店舗別の仕分けや混載積み付けまで拡大した。
同拠点は、都市型の小型食品スーパー向けの商品出荷に対応する物流センターで、商品の種類や出荷先に応じて異なる作業を効率的に処理することを目指している。
フィジカルAIで商品の積み付けを自動化、荷崩れにも対応
今回の特徴は、従来は人手に依存していた「混載積み付け」の自動化だ。
混載積み付けは、大きさや重量、形状の異なる商品を、店舗ごとにカートラックへ積み込む作業を指す。商品の組み合わせが出荷のたびに変わるため、あらかじめ決められた動作を繰り返すだけでは対応が難しかった。
イオン川口東XDでは、フィジカルAIを活用した混載パレタイズロボットと、商品を出荷順に供給するケース順立てシャトルラックを組み合わせて、この作業を自動化した。
ロボットは出荷オーダーに応じて商品の積み付け計画を事前にシミュレーションし、積載効率の高い配置を計算する。実際の積み付けでは、3Dビジョンを使って商品の位置や積載状態を認識しながら、カートラックに商品を積み込む。
積み付けの途中で商品に位置ずれや荷崩れが発生した場合も、その時点の状態を認識し、ロボットの動作を調整して作業を継続する。
事前のシミュレーションと現場の状況に応じたリアルタイム制御を組み合わせることで、従来自動化が難しかった多品種商品の混載積み付けに対応する仕組みだ。
ロボットと人の作業をWESで一元管理
物流拠点全体の運用のためのシステムとしては、イオンとMujinが共同開発したWES(Warehouse Execution System:倉庫運用管理システム)を導入した。
WESは、ロボットアーム、AGV(無人搬送車)、シャトルラックなどの自動化設備に加え、ハンディ端末を使った作業者への業務指示も一元的に管理する。
店舗ごとの出荷情報や締切時刻に応じて、商品の供給順序、各設備の動作、作業者への指示を調整することで、設備と人が連携して出荷作業を進められるようにする。
また、出荷の進捗状況や処理実績、ロボットやAGVの稼働率、作業の予定・完了状況などをリアルタイムに可視化。個々の設備だけでなく、物流センター全体の稼働状況を把握できるようにした。
商品の仕分けや搬送にも複数の自動化設備を導入
イオン川口東XDには、混載パレタイズロボット以外にも複数の自動化設備が導入されている。
「ケース順立てシャトルラック」は、店舗ごとの出荷優先順位に応じて商品を必要な順序で出庫する設備だ。「混載デパレタイズロボット」は、異なる商品が混在するパレットを認識し、商品を自動で取り下ろす。
また、AGVとデジタルピッキングシステム(DPS)を連携させた定点ピッキングでは、商品を作業者のいる場所まで搬送することで、作業者が倉庫内を歩き回る負担を軽減する。


