
何もないゼロから1をつくる難しさ─。それを建築設計事務所創業時で経験しました。現在、当社は主力の自動車ディーラーに加え、レンタカー・カーシェア、中古車販売・買取、シェアサイクル、さらにはAIを活用したDX支援など、事業領域を広げる試みを続けています。
私自身は自動車業界とは一線を画した建築デザインの道を歩んできました。工務店を営む家庭に生まれ、幼少期から建築が身近な存在であったからです。早稲田大学理工学部の建築学科で建築デザインを学び、卒業後は久米設計に入社。一級建築士として「恵比寿ガーデンプレイス」の「ザ・ガーデンホール」など日本を代表する大型開発プロジェクトに参画しました。
一方で、大手設計事務所の1社員では「自分のつくりたいものがつくれない」というジレンマも感じていました。20~30代の若手社員が自分の考えたデザインを提案しても、採用されることは非常に難しい。当時、大きな葛藤がありましたが、私は最終的に独立を決意したのです。
13年間勤めた同社のサラリーマンから独立を果たしたわけですが、決して甘くはありませんでした。独立した2000年の創業直後は建設不況で、そもそもプロジェクトが少なく、加えて無名の建築設計事務所に仕事を依頼してくれる会社などありません。私自身、自ら営業に奔走し、案件を開拓する日々でした。
そんなときに声をかけてくれたのが宇野康秀さん(U–NEXTホールディングス社長CEO)。宇野さんが東京・新木場で計画していた大型ライブハウス「スタジオ コースト」の建設が許認可関連で苦戦をしているということで支援を頼まれました。
許認可問題をクリアできたことにより、建築設計・監理も任せていただくことになりました。設計スタート後も、度重なる設計変更などがあったのですが、宇野さんは全てを認めてくださいました。稀代の経営者としての度量を強く感じました。
2002年12月31日のグランドオープンに漕ぎつけることができたときは、宇野さんはもちろん、現場で汗水流して働いてくれた方々に感謝の念を示すしかありませんでした。
決して一人では何もできない。それを痛感しました。自動車業界は100年に一度の大変革期。当社が掲げる『TOTAL MOBILITY SERVICE』を実現するためにも、社員一人ひとりと手を携え、新たな事業に果敢に挑戦していきます。
石井社長が建築設計と監理を担当した「スタジオ コースト」(当時)
