この半導体ニュースのまとめ

・ソシオネクストの第2四半期売上高は前四半期比54.7%増の604億円
・上期売上高は前年同期比14.0%増も、研究開発費増加などで営業利益は55.7%減
・通期売上高予想を2250億円へ上方修正し、北米車載・データセンター向け量産を本格化

ソシオネクストは10月28日、2026年度第2四半期(2026年7~9月期)決算を発表した。それによると売上高は前年同期比14.7%増、前四半期比54.7%増の604億円。営業利益は前年同期と同水準の23億円となり、第1四半期の7億円の営業赤字から黒字へ転換した。純利益は前年同期比5億円増、前四半期比27億円増の21億円となった。

売上高のうち、量産段階で計上する製品売上は前年同期比12.8%増の502億円、設計開発費を段階的に受け取るNRE売上は同28.4%増の102億円だった。

  • ソシオネクストの2026年度第2四半期連結決算概要

    ソシオネクストの2026年度第2四半期連結決算。売上高は前年同期比14.7%増、前四半期比54.7%増の604億円、営業利益は23億円となった (出所:ソシオネクスト)

製品売上の拡大で第1四半期の赤字から回復

製品売上の増加によって製品粗利益が前四半期から40億円増加し、営業利益を押し上げた結果、NRE売上の減少による13億円のマイナス影響などがあったものの、営業利益は第1四半期のマイナス7億円から23億円へ回復した。

前年同期比では、売上高が77億円増加。このうち製品売上の増加額は57億円、NRE売上の増加額は23億円だった。一方、営業利益は前年同期と同水準にとどまった。NRE売上の増加と円安が利益を押し上げたものの、製品粗利益の減少や、研究開発費を含む販売費・一般管理費の増加で相殺されたという。

  • ソシオネクストの第2四半期売上高と営業利益の前年同期比較

    2026年度第2四半期の前年同期比。製品売上とNRE売上が増加した一方、製品粗利益の減少と研究開発費・販管費の増加により、営業利益は前年同期と同水準の23億円となった (出所:ソシオネクスト)

上期は14%増収も営業利益は56%減

2026年度上期の売上高は前年同期比14.0%増の994億2300万円、営業利益は同55.7%減の16億6800万円、経常利益は同19.8%減の22億4000万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同25.9%減の15億2600万円となった。

製品売上は、車載向けと産業機器向けの増加により同10.2%増の775億5100万円。NRE売上はデータセンター/ネットワーク分野を中心に増え、同32.9%増の218億2700万円となった。

売上総利益は増収効果により同7.8%増の451億9100万円となったが、製品構成の変化によって製品粗利率は前年同期から5.6ポイント低下して30.1%となった。

また、北米データセンターおよび北米車載向け新製品の試作や、先端技術に向けた先行開発投資を継続したことで、研究開発費は同16.8%増の338億2500万円へ増加した。

  • ソシオネクストの2026年度上期決算概要

    ソシオネクストの2026年度上期決算。売上高は前年同期比14.0%増の994億円となった一方、製品粗利率の低下や研究開発費の増加により、営業利益は同55.7%減の17億円となった (出所:ソシオネクスト)

中国車載向けの減少を北米の新規量産で補う

上期の売上高は、円安効果を除くと当初予想を下回った。主な要因は、2025年度第2四半期から量産を開始した中国車載向け製品の販売が、当初想定を下回ったためとしている。

一方、下期には北米車載および北米データセンター向けの新規量産品が立ち上がる。同社は、これらの売上高が当初予想を上回る可能性があるとしている。

年間の製品売上は当初予想を下回る見通しだが、データセンター/ネットワーク分野を含む獲得済み商談の開発進捗によって、NRE売上は当初予想を上回ると見込む。

2026年度上期のアプリケーション別売上高構成比は、オートモーティブが36%、データセンター/ネットワークが15%、スマートデバイスが20%、インダストリアルが24%、その他が5%だった。

NRE売上では、データセンター/ネットワーク分野が56%を占めており、今後の量産売上につながる設計開発が同分野を中心に進んでいることが示されている。

棚卸資産は446億円へ増加

2026年9月末の棚卸資産は446億円となり、2026年3月末の311億円から135億円増加した。

下期以降に本格出荷を予定する北米車載・北米データセンター向け製品の生産開始に伴い、仕掛品を中心に在庫が増加した。通常品の保有月数は、2026年6月末の5.0カ月から9月末には4.0カ月へ低下した。

現金および短期保有有価証券は3月末の445億円から228億円へ減少。製品開発に必要なレチクル、テストボード、設計開発環境、IPマクロなどへの投資と、棚卸資産の増加が影響した。

有形固定資産と無形固定資産を合わせた上期の設備投資は205億4800万円で、前年同期の109億7300万円から増加した。

運転資金の確保に向けて、コミットメントラインの借入枠を従来の300億円から500億円へ拡大し、9月末時点で81億円を借り入れた。下期以降の製品売上拡大に伴い、棚卸資産と短期運転資金がさらに増加すると見込んでいる。

  • ソシオネクストの棚卸資産と現預金および借入金の推移

    ソシオネクストの2026年9月末時点の連結貸借対照表。北米車載・北米データセンター向け製品の生産開始に伴い、棚卸資産は2026年3月末から135億円増の446億円となった (出所:ソシオネクスト)

通期売上高予想を2250億円へ上方修正

ソシオネクストは、2027年3月期の通期売上高予想を従来の2150億円から2250億円へ100億円引き上げた。

営業利益は140億円から155億円、経常利益も140億円から155億円、親会社株主に帰属する当期純利益は100億円から105億円へ上方修正した。

前年度比では売上高が12.0%増、営業利益が25.5%増、経常利益が31.8%増、純利益が20.2%増となる見通し。上方修正の主因は、上期の実績為替レートが当初想定より円安で推移したことと、NRE売上が増加する見通しとなったことにある。売上高は、一部製品売上が次年度へずれ込むものの、NRE売上の増加と為替影響によって、4月時点の予想を100億円上回るとした。営業利益についても、先端分野における開発費増加や製品粗利益の減少を、NRE売上の増加、売上高の拡大、為替影響などで補い、4月予想を15億円上回る見込みとしている。

  • ソシオネクストの2026年度通期業績予想

    ソシオネクストの2026年度通期業績予想。売上高を従来予想から100億円増の2250億円、営業利益を15億円増の155億円へ上方修正した (出所:ソシオネクスト)

製品粗利率は低下も売上拡大で吸収へ

2026年度の製品粗利率は、新規量産品の初期立ち上げコスト、大規模プロジェクトの構成比上昇、歩留まりやテストコストなどの増加により、2025年度を若干下回る見通しとしている。

2027年度以降も製品粗利率は2026年度並みか、若干低下する可能性がある。ただし、車載やデータセンター/ネットワーク向けの売上拡大によって、製品粗利益額そのものは増加し、2026年4月時点の見通しを上回る可能性があるという。

同社は、量産初期に発生した歩留まりやテストコストの課題から得た知見を、シリコンだけでなく、パッケージ、電源、熱、テスト、歩留まりまでを統合して設計する「Entire Design」の能力強化へ活用する。

AIデータセンターと車載向けSoCを成長軸に

データセンター/ネットワーク分野では、生成AIに加え、エージェンティックAIや推論市場の拡大によって、AIインフラへの投資が継続的に拡大するとみている。

同社は、CPUやxPU、ネットワークスイッチなどの高性能カスタムSoCに加え、チップレット、HBM、高速SerDes、Die-to-Die Interface、光I/O、先端パッケージングなどを組み合わせたソリューションSoCの需要拡大を想定する。

オートモーティブ分野では、自動運転(AD)/ADASの高度化やSDV化に伴って、車載コンピューティング需要が拡大すると予測。自動車向け設計品質や機能安全、アーキテクチャ提案力を生かし、次世代AD/ADASやゾーンコンピューティング向けの商談獲得を進める。

インダストリアル/スマートデバイス分野では、エージェンティックAIとフィジカルAIの進展を背景に、自律化・知能化した産業機器やエッジデバイス向けSoC需要の拡大を期待している。

2nm以降の微細プロセス、チップレット、3Dハイブリッドボンディング、CPO/NPO、光I/O、IVRなどへの先行投資に加え、AIエージェントを利用したSoC設計の効率化や、グローバル開発体制の強化も進める。

ソシオネクストは、下期に始まる北米車載・北米データセンター向け製品の量産と、データセンター/ネットワークを中心とするNRE売上の拡大を足掛かりに、売上成長と利益率の改善につなげるとしている。