この半導体ニュースのまとめ

・ソシオネクストが大規模3nm SoCの物理設計にエージェンティックAIを適用
・Cadence InnoStack AI Super Agentでフロアプランニングやタイミング解析を支援
・社内の設計知識を再利用し、全体として最大5倍の生産性向上を目指す

ソシオネクストは、エージェンティックAIを活用した半導体設計の適用領域を、先端プロセスを採用する大規模SoCの物理設計へ拡大すると発表した。

同社はフロントエンド設計にAIを取り入れ、設計・検証作業の効率化や、エンジニアによる判断・分析の支援、設計知識の活用を進めてきた。

今回、Cadence Design Systems(ケイデンス)との協業を通じて大規模3nm SoCの物理設計にAI-driven設計を適用し、「Cadence InnoStack AI Super Agent」を今後のSoC開発プロジェクトへ展開する。

ソシオネクストは、CadenceのエージェンティックAIワークフローによって、全体として最大5倍の生産性向上を期待している。

設計知識を実際の物理設計へ組み込む

先端プロセスを採用する大規模SoCでは、回路規模の拡大に伴って物理設計の複雑性が高まっている。

物理設計では、回路ブロックをチップ上へ配置するフロアプランニングや、信号が規定時間内に到達するかを確認するタイミング解析など、多数の設計作業と判断が必要になる。

ソシオネクストは、検索拡張生成(RAG)、Model Context Protocol(MCP)、用途に合わせてカスタマイズしたAIスキル、AIエージェントを活用し、社内に蓄積した設計知識を物理設計ワークフローへ統合する。

現在および今後の適用領域には、フロアプランニング、独自のタイミング解析チェック、将来的なチェックリストの自動化などが含まれる。

設計ノウハウをプロジェクト横断で再利用

半導体設計におけるノウハウは、熟練エンジニアや個別プロジェクトへ蓄積されやすく、別のチームや次世代製品へ再利用することが課題となる。

ソシオネクストは、設計知識、設計手法、エンジニアリング経験をAIエージェントへ組み込むことで、プロジェクトやチームを越えて利用可能な組織的資産として蓄積・再利用する考えだ。

AIが個別作業を単純に自動化するだけでなく、必要な設計知識を参照し、EDAツールや設計フローと連携することで、エンジニアによる設計判断や分析を支援する。

これにより、エンジニアが反復的な確認作業から解放され、設計方針やアーキテクチャ、品質など、より付加価値の高い業務へ注力できる開発環境の構築を目指す。

フロントエンドから物理設計までAI活用を拡大

ソシオネクストは今後、先行して取り組んできたフロントエンド設計のAI活用と、今回適用を拡大するAI-driven物理設計を連携させるという。SoC開発フロー全体でAI活用を統合し、設計効率と設計品質の向上を図る計画だ。

物理設計についてはCadenceとの協業を継続し、大規模3nm SoCへの適用で得た成果を今後のSoC開発プロジェクトへ展開。併せて、社内の専門知識を組み込んだ独自のAIエージェントやエンジニアリングアシスタントの開発も進める。

ソシオネクストは、SoC設計に蓄積された知識とCadenceのエージェンティックAI技術を組み合わせ、品質と信頼性を維持しながら、設計生産性の向上と設計知識の継承を進めるとしている。